プロ野球・外国人選手の「投高打低」はなぜ起きた? 薮田安彦が助っ人事情を解説 (3ページ目)
【日本で活躍する選手の特徴は】
── 日本で活躍できる外国人打者は、繊細なコントロール攻めに対応できる、逆に外国人投手はスピードとある程度のコントロールがあるということなのでしょうか。
薮田 そうですね。ヤクルトのドミンゴ・サンタナ選手やホセ・オスナ選手のように、逆方向に打てる打者は成績を残せると思います。ピッチャーならはエスピノーザ投手のように150キロを超すスピードがありながらも、コントロールがよく、変化球も有効に使える投手。日本で活躍するうえで、その部分は絶対必要になります。ほかにも、ストライクゾーンの違いや生活環境にも慣れていかなくてはいけません。
── 薮田さんが在籍したロッテは、C.Cメルセデス投手やポランコ選手、ソト選手が揃って活躍しています。
薮田 やってみないとわからない選手に高い年俸を払うのなら、日本である程度実績のある外国人選手を獲得したほうが計算できて得策だと思います。メジャー通算178本塁打を放ちながら、二軍調整を拒否して帰国してしまった巨人のルーグネッド・オドーア選手のような例もあります。彼も「こんなはずじゃなかった」と思ったはずです。そこで気を入れ直してやるのか、それともあきらめるのか、そこは先述したようにスカウトの眼力が問われます。オードア選手のあとに来たエリエ・ヘルナンデス選手は、メジャーでの実績は乏しいですが、必死に野球をやっている姿勢が16試合連続安打など、好結果につながっています。
── 最後にもう一度、お聞きします。来日する外国人選手の「投高打低」の理由はどこにあると思いますか。
薮田 繰り返しになりますが、日本人投手のレベルが上がり、来日した外国人打者は対応に苦戦しています。一方、来日する外国人投手はスピードとある程度のコントロールを持っていれば、活躍できるということになります。たとえば、ソフトバンクのリバン・モイネロ選手は奪三振率が高く、抑えを務めているロベルト・オスナ選手は与四球率が低い。また中日の抑えとして活躍しているライデル・マルティネス選手は奪三振率が高く、与四球率が低い。だからこそ、昨年までの6年間で123セーブ、35ホールドの成績を残せているのだと思います。
薮田安彦(やぶた・やすひこ)/1973年6月19日、大阪府出身。上宮高から新日鉄広畑を経て、95年ドラフト2位(逆指名)でロッテに入団。セットアッパーとして05年、10年の日本一に貢献。07年には最優秀中継ぎ賞のタイトルを獲得。08年から09年までMLBのロイヤルズでプレーし、43試合に登板した。10年からロッテに復帰し、13年シーズンを最後に現役引退。引退後は解説者として活躍している。
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