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山本昌が感じるプロ野球"投高打低"「飛ばないボール」ではなく、投手能力を引き上げる環境の進化が要因か (2ページ目)

  • 佐藤主祥●構成 text by Sato Kazuyoshi

【"3割打者減少"の理由は投手の技術と成長意欲の向上にあり】

 セ・リーグの現状として、3割を超えるバッターはドミンゴ・サンタナ選手(ヤクルト)と丸佳浩選手(巨人)の2人のみ(7月3日時点)。昨季もセパ両リーグ合わせて5人しかおらず、打率で見ると、"投高打低"の傾向がより鮮明になったように感じます。

 ピッチャー側の視点で話すと、冒頭でも触れましたが、やはり投球における技術力の向上や球種の増加、加えて「決め球」が多いのもバッターが打てなくなっている要因になっている気がします。

 人間の目って横に並んで付いているじゃないですか。なので、横方向の視野の方が広いんですよ。つまり、スライダーやシュートなど横変化の変化球はバットがついていきやすい。一方でフォークやチェンジアップといった縦変化には弱い、というのは必然なんです。いまはほとんどのピッチャーが決め球として落ちるボールを持っているので、もちろんバッターによってはうまく打ちますが、バットで捉えることが難しくなっているのは見ていて感じるところです。

 それに現代のピッチャーを見ていると、いろんなことに対して積極的にトライするようになりましたね。昔は真っすぐの速さと質、持ち球の変化球を磨く、というのが常識の時代でした。なぜならピッチャーは、練習で500本打とうと思えばできるバッターに比べて、ブルペンで500球も投げることなんてできないからです。1日あたりの投球数に制限があるとわかっていれば、持ち球の制度やキレを磨くほうに肩を使おうと思うじゃないですか。

 でもいまは、自分の持ち球以外の球種もひと通り投げて試したりと、新しいものをどんどん取り入れようという考え方になっています。それでも質のいい真っすぐやキレのある多彩な変化球を投げられるのは、プロ野球のピッチャーのレベルが全体的に上がっているにほかなりません。本当に僕らの時代に比べて、すごい技術力だなと感心します。

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