伊勢孝夫が岡田彰布監督の采配に喝 「もっと選手を信頼し、気持ちよく送り出してやるべきだ」

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi

 昨シーズン、18年ぶりのリーグ制覇、38年ぶりの日本一に輝いた阪神。今季は球団初の連覇がかかっているが、ここまで(6月30日現在、以下同)リーグ4位と苦戦している。現在セ・リーグは首位の広島から最下位のヤクルト、中日まで7ゲーム差と、混戦模様である。ここから阪神が抜け出すには何か必要なのか。解説者の伊勢孝夫氏に聞くと、指揮官への厳しい言葉が続いた。

球団初の連覇に挑んでいる阪神・岡田彰布監督だが、現在4位と苦しんでいる photo by Koike Yoshihiro球団初の連覇に挑んでいる阪神・岡田彰布監督だが、現在4位と苦しんでいる photo by Koike Yoshihiroこの記事に関連する写真を見る

【疑問に感じた大山、サトテルの起用法】

 折に触れ、私が口にしていることだが、今後のことを考えたら、相手投手が右であろうと左であろうと、使うべき選手を使うことが大事なのではないか。問題ばかりの打線に見えるが、大山悠輔、佐藤輝明、森下翔太......この3人が頑張らなければ阪神の先は見えない。ところが今季、この3人がどうもおかしい。

 不振から自信をなくし、自ら二軍行きを申し出た大山。彼については、6月10日に配信した記事で「1カ月くらいの調整が必要」と記したが、実際には2週間くらいで一軍に上がってきた。では、予想されたより打撃の修正が早く済んだのか?

 復帰直後の6月21日のDeNA戦、先発のジャクソンから154キロの真っすぐをライト前に弾き返し、次の打席もセンター前と2打席連続安打はさすがだ。最初の打席のライト前だが、二軍落ちする前なら引っかけてショートゴロになっていたボールだ。2打席目のセンター前も同様に、少し前なら内野ゴロになっていた球だ。

 そして翌日の試合では、東克樹のチェンジアップをレフトスタンドにホームラン。周りから見れば、"完全復活"と思えるような活躍だった。

 だが私の見る限り、まだまだ。以前に比べればかなりよくなっているが、70%程度の復調具合だろうか。体の開きはだいぶ修正されているが、まだ止まり(体重移動した際の踏み出す左足の踏ん張り)が甘い気がする。

 今の状態だと思いきった内角攻めにはまだ対応しきれない。詰まらされるのを嫌がって、また体が開いてしまうのだけは避けたいところだが。

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著者プロフィール

  • 木村公一

    木村公一 (きむらこういち)

    獨協大学卒業後、フリーのスポーツライターに。以後、新聞、雑誌に野球企画を中心に寄稿する一方、漫画原作などもてがける。韓国、台湾などのプロ野球もフォローし、WBCなどの国際大会ではスポーツ専門チャンネルでコメンテーターも務める。

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