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「幕張の防波堤」小林雅英がパ・リーグのリリーフ陣を査定 S評価の球団、個人的に気になる投手は? (3ページ目)

  • 栗田シメイ●取材・文 text by Kurita Shimei

【オリックス 評価C】

 私のなかで一番驚いたのがオリックスですね。山﨑颯一郎、宇田川優希という軸が苦しんでいるのもありますが、わずか一年でこれだけ面子が変わることは珍しい。それでも力がある投手が次々と出てくるのがすごさではあるのですが......。球団のスカウティングがすごいですね。

 個人的には、社会人野球出身の古田島成龍が気になる存在です。今、僕は社会人野球のコーチをしているので(エイジェック硬式野球部)、社会人のいい投手もわかるんですが、実は彼のことは知らなかったんです。NPBで彼を見て、「本当にいい投手だな」と。今の時代、あれだけ感情むき出しにして投げる投手はほとんどいない。中日の藤嶋健人の若い時もそうでしたが、ああいう投手は好きなんです(笑)。「久しぶりにこういう投手を見たな」と思いました。

 古田島にも同じ"匂い"を感じました。社会人出身の中継ぎ投手で、これだけ活きのいい投手は久しぶりな気がします。(日本製鉄鹿島からプロに入った)ソフトバンクの大津亮介が今年は先発に回り、リリーフ面でタイトル争いをする社会人出身のピッチャーが減ってしまった。そういう意味でも、古田島、髙島泰都の両投手には注目しています。

 ただ、右投手はたくさんいるんですが、左投手が機能していない点はマイナスですね。今後もこれだけ変わったメンバーをどう組み立てていくのか、非常に興味があります。

【西武 評価C】

 クローザーの(アルバート・)アブレイユが4敗していますが、難しい状況で投げていることが多いですからね。来日1年目ということ、緊急登板の多さなどを考えると、まだ目をつむれる範囲だとは思います。

 左の佐藤隼輔がいいパフォーマンスを継続しており、今の西武にとってこのふたりは貴重な戦力で、中心となるべき存在です。本田圭佑、水上由伸、松本航が後ろで起用されたりと、投げている面子は多いですが、やはり固定はできていない。

 また、昨年との最大の違いは、甲斐野央が投げられていないことでしょう。昨年の甲斐野は本当に素晴らしいパフォーマンスを見せていましたから。あの球速と勢いがある投手が一枚いないだけで、後ろのマネジメントはまったく変わってきます。そこに苦労している感じですね。あとは、経験ある投手が盛り返してくるとラクになる。残りのシーズンは、ベテランの意地に注目したいです。

(プロフィール)
■小林雅英(こばやし・まさひで)

1974年、山梨県生まれ。都留高から日本体育大、東京ガスを経て、1998年のドラフトでロッテから1位指名を受け入団。1年目は先発としても起用され、46試合の登板で5勝をマーク。3年目の2001年からクローザーとなり、2007年まで毎年20セーブ以上を挙げるなど活躍。「幕張の防波堤」の異名をとった。2008年からMLBのクリーブランド・インディアンスに移籍。主に中継ぎとして57試合に登板。翌年も残留となったが、シーズン途中に契約解除。同年オフに巨人と契約するも1年で戦力外となり、オリックスへ移籍。ここでも結果を残せず、2011年限りで現役を引退。引退後はオリックス、ロッテでコーチを務め、現在はプロ野球評論家として活躍。

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