巨人で活躍した「メジャーで無名だった」助っ人たち 過去には最多勝、奪三振王、ホールド歴代4位も...
5月10日、読売ジャイアンツはホームページでこう発表した。
『読売巨人軍は、エリエ・ヘルナンデス選手(外野手、右投右打)と選手契約を結ぶことについて合意しました。背番号は「42」です。(後略)』
エリエ・ヘルナンデスは、29歳のドミニカンだ。2022年の夏にメジャーデビューし、最初の7試合で19打数6安打(打率.316)を記録したが、続く7試合は14打数0安打に終わり、約1カ月でAAAに戻された。メジャーリーグでプレーしたのは、この14試合がすべて。ホームランは打っていない。
明るいキャラで人気者だったガルベス photo by Kyodo Newsこの記事に関連する写真を見る 過去2シーズンは、2022年がAAAの89試合で打率.298と出塁率.356、13本塁打と10盗塁、OPS.880。2023年はAAAの137試合で打率.298と出塁率.359、18本塁打と9盗塁、OPS.837。二塁打が多く、それぞれ21本と36本を数えた。
昨シーズンの165安打はAAAで最も多かった。二塁打36本もパシフィックコーストリーグで最多だった。
今月1日にテキサス・レンジャーズを退団したのは、形こそ「解雇」だが、巨人でプレーすることが決まり、ヘルナンデスからレンジャーズに解雇を求めたと思われる。今シーズンはAAAの20試合で打率.289と出塁率.386、2本塁打と1盗塁、OPS.860。二塁打は6本だ。クビになるような成績ではない。
もっとも、ベースボール・アメリカやMLB.comなどの「プロスペクト・トップ100」にランクインしたことは、一度もない。うまくいけば「5ツール・プレーヤー」として台頭してもおかしくなかった気もするが、ずば抜けたツールを持ち合わせていない、という見方もできる。
ヘルナンデス以前、過去来日して巨人でプレーした選手のなかにも、メジャーリーガーとしての実績が皆無に近い、あるいは皆無の選手はいた。振り返ると、そこから活躍した選手は野手よりも投手が多い。
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著者プロフィール
宇根夏樹 (うね・なつき)
ベースボール・ライター。1968年生まれ。三重県出身。MLB専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランス。著書『MLB人類学──名言・迷言・妄言集』(彩流社)。