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巨人の捕手併用に広岡達朗が持論 「秀でた者がいないから、ピッチャーとの相性によって起用するのは当然」 (2ページ目)

  • 松永多佳倫●文 text by Matsunaga Takarin

「野村(克也)や古田(敦也)のように攻守に秀でたキャッチャーがいたら別だが、これといって差がないのであれば、ピッチャーの相性によって起用するのは当然だ。大城はキャッチャーとしてキャリアを重ねているにもかかわらず、成長が見えないどころか、年々悪くなっている印象がある。普段から打者の動向や息づかいを注意深く観察し、前の打席でそのバッターがどんなカウントで、どんなボールを打ってきたのか、そこに至るまでのプロセスを覚えていないんじゃないか。大城は自分のことで精一杯で、周りを見る余裕がない。それでは正捕手とは呼べない」

 もともとキャッチャーとしての評価は、ドラフト同期の岸田のほうが高かった。そんな大城が正捕手になった背景には、小林の打力が乏しいため、バッティングのいい大城が抜擢されたわけだ。

 ただ、阿部監督は大城に対して「小林や岸田の捕手としての振る舞いをしっかり勉強してほしい」とメディアを通して伝えたように、捕手としての能力に疑問を抱いているのは間違いない。

【試合に出ていないときに何を学ぶか】

 31歳とベテランの域に近づいている大城にとって、時間的猶予はあまりない。昨年までは、守備面で多少は目を瞑ってでも打撃優先で使ってもらっていたが、阿部監督が「守りの野球」を標榜する以上、ディフェンス面での成長が見られない限り、小林や岸田が起用されるのは当然だろう。ただ広岡は、今こそ大城が成長するチャンスだとも言う。

「ルーキーの佐々木(俊輔)など若手たちを起用しながら育てていくパターンもあれば、選手を外すことで奮起を促す采配もある。これは原のときにはなかったことだ。すぐに成果は出なくても、チームにとって"変革"という意味ではいいかもしれない。阿部は、巨人のキャッチャーは勝つことでしか評価されないと言ったが、それが巨人だ。

 だから大城は、ベンチ要員になったからといって腐ってはいけない。肝心なのは、試合に出ていないときに何を学ぶかだ。とくに大城は、インサイドワークも大事だが、投手との連携をもっと勉強しなければならん。間(ま)の取り方や、制球が定まらない投手に対してどんな言葉をかけるのか、などだ。首脳陣はベンチでの態度や姿勢を必ず見ている。ベンチから、自分に足りないものは何なのかしっかり勉強して、次に生かせばいいのだ」

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