侍ジャパンの準々決勝勝利へのカギを元阪神エースの岩田稔が分析「捕手の使い分け」「下位から上位のつなぎ」「4番・村上宗隆の復調」【WBC2023人気記事】
「PLAYBACK WBC」Memories of Glory
昨年3月、第5回WBCで栗山英樹監督率いる侍ジャパンは、大谷翔平、ダルビッシュ有、山本由伸らの活躍もあり、1次ラウンド初戦の中国戦から決勝のアメリカ戦まで負けなしの全勝で3大会ぶり3度目の世界一を果たした。日本を熱狂と感動の渦に巻き込んだWBC制覇から1年、選手たちはまもなく始まるシーズンに向けて調整を行なっているが、スポルティーバでは昨年WBC期間中に配信された侍ジャパンの記事を再公開。あらためて侍ジャパン栄光の軌跡を振り返りたい。 ※記事内容は配信当時のものになります
日本代表が第5回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の第4戦でオーストラリア代表と対戦し、7対1で下してグループ首位での準々決勝進出を決めた。日本は初回、3番・大谷翔平の3ランで先制。2回には1番のラーズ・ヌートバー、2番・近藤健介の連続タイムリーで2点を加えた。5回には8番・中村悠平のタイムリーでリードを広げた。
投げては、先発の山本由伸が4回を被安打1で無失点、8奪三振の快投。第2先発の高橋奎二が2回を無失点に抑えると、7回から大勢、湯浅京己、高橋宏斗とつないで勝利した。試合のポイントについて、2009年WBC代表で元阪神の岩田稔氏に聞いた。
オーストラリア戦の初回、3ランを放った大谷翔平(写真右)この記事に関連する写真を見る
【試合を支配した大谷翔平の3ラン】
オーストラリアとの全勝対決となったなか、1回表の大谷選手の3ランが本当に大きかった。初球のカーブを空振りして、2球目に同じカーブが少し甘く入ったところを完璧に打ちました。
大谷選手はオーストラリアの配球データをしっかり頭に入れて、「相手のいいボールを打つ」と決めていたのかなと感じました。相手投手のいいボールを潰してしまえば、あとのバッターが攻めやすくなります。そういう意味で、大谷選手のひと振りでゲームを支配したと言ってもいいと思います。
いま相手投手は、大谷選手と対戦したくないはずです。それくらいの威圧感を感じます。甘いコースにいったら全部ホームランというイメージがあるのではないでしょうか。もし打たれても「シングルヒットならOK」という割りきりができていればいいのですが、攻めきれなくて押し出し四球という場面が4回にありました。対戦しているピッチャーは、大谷選手を打席に迎えるだけで飲み込まれているように見えました。
投手陣ですが、先発の山本投手はいきなり3点のリードをもらったことで、気持ち的にラクに入れたと思います。真っすぐのキレがよく、相手バッターを押し込めていました。真っすぐでも変化球でも空振りがとれていたので、中村捕手もリードしやすかったんじゃないでしょうか。
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著者プロフィール
中島大輔 (なかじま・だいすけ)
2005年から英国で4年間、当時セルティックの中村俊輔を密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『山本由伸 常識を変える投球術』。『中南米野球はなぜ強いのか』で第28回ミズノスポーツライター賞の優秀賞。内海哲也『プライド 史上4人目、連続最多勝左腕のマウンド人生』では構成を担当。