ヌートバーと大谷翔平に攝津正氏が感じた「トップメジャーリーガーのすごさ」 2試合無安打の村上宗隆には「4番は変えるべきではない」【プレーバックWBC2023人気記事】
「PLAYBACK WBC」Memories of Glory
昨年3月、第5回WBCで栗山英樹監督率いる侍ジャパンは、大谷翔平、ダルビッシュ有、山本由伸らの活躍もあり、1次ラウンド初戦の中国戦から決勝のアメリカ戦まで負けなしの全勝で3大会ぶり3度目の世界一を果たした。日本を熱狂と感動の渦に巻き込んだWBC制覇から1年、選手たちはまもなく始まるシーズンに向けて調整を行なっているが、スポルティーバでは昨年WBC期間中に配信された侍ジャパンの記事を再公開。あらためて侍ジャパン栄光の軌跡を振り返りたい。 ※記事内容は配信当時のものになります
日本代表が第5回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の第2戦で韓国代表と対戦し、13対4で快勝して2連勝を飾った。日本は3回表、先発のダルビッシュ有が8番・ヤン・ウィジの2ラン本塁打などで3点を先行されたが、直後の3回裏、1番のラーズ・ヌートバー、2番・近藤健介、5番・吉田正尚のタイムリーで4点を奪って逆転。5回には近藤のソロ本塁打などで2点を追加すると、6回には3番・大谷翔平のライト前タイムリーなどで5点を加えた。7回にはさらに押し出し四球などで2点を挙げた。
守っては、4回から第2先発として登板した今永昇太が3イニングを投げて本塁打の1失点のみと好投。7回から宇田川優希、松井裕樹、高橋宏斗とつないで大量リードを守りきった。試合のポイントについて、元ソフトバンクの投手で2013年に第3回WBCに出場した攝津正氏に聞いた。
WBC韓国戦の3回、追撃となるタイムリーを放つヌートバー
【メジャーのすごさを感じた対応力】
日本は3点を先行された直後の3回裏、4点を奪って逆転に成功しました。韓国の先発キム・グァンヒョン投手は3点入ったことによって、明らかに精神状態が変わったように感じました。
先発ピッチャーというのは、試合が動いた時に注意しないといけません。そのなかで絶対にダメなのが、先頭打者へのフォアボールです。それを源田壮亮選手、中村悠平選手に連続して出してしまった。そして無死一、二塁となり、センター前タイムリーを打ったのがヌートバー選手です。
その前に初球でバントをしましたが、おそらくサインではなく自分でやったのでしょう。何とか点数を返さなければという姿勢が出ていました。それがタイムリーにつながり、1点入ったことによって日本はどんどん攻勢を強めていきます。対する韓国投手陣は9個の四死球を出したこともあり、試合は思わぬ大差となりました。
正直、試合序盤には想像しにくい展開でした。日本は初戦の中国戦で本来の力を出せず、翌日の韓国戦では「このままだったら怖いな」と思っていた矢先に3点を先行されます。攻撃も含め、日本のチーム状況はあまりよくないのかなという雰囲気もありました。そうした流れを感じていたなか、3回裏に飛び出したのがヌートバー選手のタイムリー。本当に価値のある一打になりました。チームの流れを一気に変えてくれましたから。
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著者プロフィール
中島大輔 (なかじま・だいすけ)
2005年から英国で4年間、当時セルティックの中村俊輔を密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『山本由伸 常識を変える投球術』。『中南米野球はなぜ強いのか』で第28回ミズノスポーツライター賞の優秀賞。内海哲也『プライド 史上4人目、連続最多勝左腕のマウンド人生』では構成を担当。