2試合連続KOで栗山監督からリリーフ転向の打診 難色を示していた斎藤佑樹を翻意させた中嶋聡の言葉 (4ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta

 僕はもともと肩ができるのは早いし、気持ちのスイッチを入れるのも苦手ではありません。もしかしたらリリーフは僕に合っているんじゃないかと考えるようになっていた時、栗山監督の覚悟に触れたんです......あれは5月になってすぐ(4日)のことだったと思います。

 鎌ヶ谷でのイースタンの試合(ライオンズ戦)で先発するはずだったのに、急遽、ブルペンへ入るよう言われました。栗山監督から二軍の首脳陣に「今日から佑樹をリリーフで起用してくれ」と連絡があったと聞きました。

 僕は監督の意向を知っていましたし、そう言われてから時間も経っていました。中嶋さんの話が響いていたこともあって、僕はブルペン待機を受け入れることができました。

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 5月から斎藤は二軍でクローザーを任された。チームの勝ちを消してはならないという責任感から、今までとは違うアドレナリンが出てくることを感じることができたのだと斎藤は言っていた。その経験を生かして、シーズン終盤には先発に戻り、一軍で勝ち星も挙げた(9月16日、千葉でのマリーンズ戦で6回77球、1失点)。それでもプロ5年目の斎藤は1勝3敗、防御率5.74と、またも不本意な成績に終わる。クライマックス・シリーズへシーズン2位で勝ち進んだファイターズは、3位のマリーンズに敗れて1位のホークスとの決戦に進めなかったのだが、もしファイターズがホークスと戦うことになっていたら、その第1戦には9月に勝って上り調子の斎藤が先発することになっていた。しかしながらチームは敗れ、その舞台が実現することはなかったのである。

次回へ続く

プロフィール

  • 石田雄太

    石田雄太 (いしだゆうた)

    1964年生まれ、愛知県出身。青山学院大卒業後、NHKに入局し、「サンデースポーツ」などのディレクターを努める。1992年にNHKを退職し独立。『Number』『web Sportiva』を中心とした執筆活動とともに、スポーツ番組の構成・演出も行なっている。『桑田真澄 ピッチャーズバイブル』(集英社)『イチローイズム』(集英社)『大谷翔平 野球翔年Ⅰ日本編 2013-2018』(文藝春秋)など著者多数。

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