佐々木朗希のメジャー挑戦騒動は「周りがとやかく言うことではない」元ロッテ清水直行「両者の間で決めた条件がすべて」 (2ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo

【今シーズン注目の球種はスライダー】

――春季キャンプで何度かブルペンに入っていましたが、いかがでしたか?

清水 昨年はWBCがあったので、2月の時点で仕上がっていました。そこまではいかなくとも、キャンプ2日目からブルペンに入っていますし、強い真っすぐを投げ、変化球も試していたので「仕上がりが早いな」という印象です。しっかりと腕が振れていましたし、体のどこかをかばっている仕草や表情も見られなかった。コンディションはよさそうです。

 それと、下半身がどっしりとしてきましたし、体に厚みが出てきましたね。これまで地道に続けてきたトレーニングの成果もあると思います。プロ5年目を迎え、本当の意味で"戦える体"が出来上がってきたと感じます。

――ブルペンではスライダーも投げ、低めに制球できていました。

清水 佐々木投手といえば、真っすぐとフォークという縦の変化がメインですが、スライダーも織り交ぜることで横や斜めの変化をバッターに意識させることができます。スライダーを投げるにあたって気になるのは肘の負担。個人差はありますが、肘の内側に負担がかかる球種なんです。
 
 ただ、僕の予想としては、今年はスライダーもけっこう投げていくんじゃないかと。変化をつけられるのであれば、大きく曲げたり、小さく曲げたり。昨年のWBCで一緒に過ごしたダルビッシュ有投手(サンディエゴ・パドレス)から教わっているので、スライダーにもいくつかのパターンがあると思うんです。

 どうすれば速く、遅くなるのか。ボールの曲げ方なども、本当に細かい部分まで聞いているはず。本人が試合で微調整しながら、肘への負担が少ないボールの握り方や切り方、抜き方の感覚なども覚えていくでしょう。彼クラスのピッチャーであれば、ブルペンではなく、試合でどんどん試していけばいいと思います。

――佐々木投手は器用なタイプですか?

清水 そもそも、あれだけの身長とリーチの長さがあって、160kmを超える球(自己最速165km)をストライクゾーンに投げられている時点で器用だと思います。体のバランス、ボールをリリースするタイミングなどを掴めている証拠です。

 世界中を探せば、160km台中盤の球を投げられるピッチャーは何人かいるかもしれません。ただ、続けてストライクゾーンに入れることは簡単なことではないですし、そもそも160kmの球を100球近く投げる力もないでしょう。彼の場合は真っすぐだけでなく、フォークボールも含めて枠にいきますし、あの大きな体を制御できていることがすごいです。

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