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2023年野球界10大ニュース 球界をざわつかせた事件、現役ドラフトの明暗、超大物の決断... (3ページ目)

  • 田口元義●文 text by Taguchi Genki

悲願のW杯優勝を飾ったU−18侍ジャパンのメンバー photo by Sankei Visual悲願のW杯優勝を飾ったU−18侍ジャパンのメンバー photo by Sankei Visualこの記事に関連する写真を見る

【侍ジャパンU−18がW杯初制覇】

「4度目の正直」での悲願達成。第31回U−18ワールドカップで、若き侍ジャパンが4回目となる決勝進出で初の世界一を手にした。

 日本代表を率いる明徳義塾の馬淵史郎監督は、投手力を中心に守り勝つ野球で世界を獲るためのメンバーを選出。

 投手陣は大阪桐蔭の前田悠伍と沖縄尚学の東恩納蒼を先発の軸とし、バッティングでも戦力となる山形中央の武田陸玖、智弁学園の中山優月を二刀流としてスタンバイさせた。「1試合41球から55球までは登板間隔が中1日」など球数制限が厳格化された大会において、指揮官は柔軟性のある起用でブルペンを運用した。

 投手陣の中心にいた前田は台湾との決勝戦を含む3試合で先発し、防御率0.54と実力を証明。東恩納は3試合11イニングを投げ防御率0.00で大会ベストナインと、左右両エースのピッチングが日本に安定感をもたらした。

 野手では守備のみならず、バントや進塁打など状況に応じたバッティングを体現できる選手が結果を残した。

 その筆頭が、横浜で1年生から甲子園を経験する緒方漣だ。大会序盤こそ下位打線に名を連ねていたが、3試合目のアメリカ戦から3番で起用されると定着し、全9試合で24打数13安打、打率5割4分2厘、7四球、2盗塁と、馬淵監督が標榜する野球のアイコンとなった緒方は、首位打者、ベストナイン、大会MVPに輝いた。

 野手では脇役の献身も目立った。仙台育英の山田脩也が1割台の打率をカバーするように内野守備で盛り立て、控えが中心だった聖光学院の高中一樹は、スタメン出場となった決勝戦で貴重な逆転スクイズを決めた。

 世界の野球が長打など派手な野球にシフトするなか、日本のホームランは山田の1本のみ。送りバントは9試合で14個と、選手一人ひとりがチームプレーに徹した。日本は"お家芸"であるスモール・ベースボールで世界一を勝ちとったのである。

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