WBCで岡本和真を支えた漫画『スラムダンク』 素振りのコツは「右手はそえるだけ...」 (2ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • 編集協力●市川光治(光スタジオ)

 岡本はその次の打席でも右中間へタイムリーとなるツーベースヒットを放って5打点を挙げ、お立ち台に上がった。

「準々決勝を前に、髪を切ったんです。日程を見たら、あのタイミングで切っておかないと行く時間がないなと思って......それは準々決勝で勝ってアメリカへ行くことが前提でしたから、もしかしたらあのタイミングで髪を切ったのがよかったのかもしれませんね(笑)」

【衝撃を受けた大谷翔平のバッティング】

 じつは岡本、このWBCを前に漫画『SLAM DUNK(スラムダンク)』(井上雄彦)にハマっていた。昨オフ、アニメを見て、漫画を全巻買い揃えて2月の宮崎合宿へ持ち込んだ。もちろん映画もWBCの前に観に行っている。

「(映画館入場者特典の)"安西先生タプタプステッカー"をもらえる最終日でしたね(笑)。でも湘北のジャージが売り切れで山王のTシャツの発売前日だったので、結局、何も買えませんでした。僕は桜木花道がめちゃめちゃ好きで、『SLAM DUNK』には、よし、頑張ろう、という気持ちにさせてもらいました。

 たとえば花道が『左手はそえるだけ』と言ってシュートの練習をするじゃないですか。僕も野球を始めた頃は素振りをめちゃくちゃやらされて、嫌で嫌で仕方なかった。どうせ振るなら素振りじゃなくて本物のボールを打ちたいって(苦笑)」

 プロになった今も、素振りは大事な練習として欠かさないという岡本には、独自のバロメーターがある。

「振りたいところがスッとイメージできて、そこに自然とバットが出る時にはボワーンと振れるという感覚があります。その感じが出たら本数に関係なく終わります。素振りのコツですか? 僕は素振りの時、右手に力を入れません。だからコツは『右手はそえるだけ』かな(笑)」

 WBCを戦っていた時、5年連続で30本以上のホームランを打っていた岡本(2023年も41本のホームランを打って、今は6年連続30本以上)だが、日本を代表するスラッガーの目に大谷翔平のバッティングはどう映ったのだろう。

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