カルロス・ポンセが「間違いなくメジャーで通用した」と語る3人の日本人「江川卓よりもすごかった」 (2ページ目)

  • 阿佐智●文 text by Asa Satoshi

 そのライバルチームには「メジャー級」の選手が揃っていたと振り返る。

「今もそうだけど、ジャイアンツはピッチャーが本当によかった。エガワ(江川卓)はたしかにすばらしいピッチャーだった。あとはミズノ(水野雄仁)もよかったね。でも、一番はあの背の高い、若い......そう、マキハラ(槙原寛己)だ。ストレートにスライダーという典型的なアメリカンスタイルのピッチングで、彼こそ間違いなくメジャーレベルだったよ。エガワよりもすごかったね。

 カープのピッチャーもよかったね。キタベップ(北別府学)はとにかく打つのが難しかった。ほかにもサウスポーのふたり......カワグチ(川口和久)とオオノ(大野豊)も速かったね。でもね、オオノは得意だったんだ。現役生活で一番印象に残っているのが広島戦で放ったサヨナラホームランなんだけど、その時のピッチャーがオオノじゃなかったかな。カワグチは最後までボールが見えなかったけど、オオノは投げる時に腕を下ろすだろ。だからボールが見やすかったんだ」

 一方、打者では「巨人打線はすごかった」と、篠塚利夫(現・和典)のミート力、原辰徳のパワーを挙げたが、これにはポンセ流のリップサービスが含まれていた。じつは今回の来日の際、真っ先に彼の口から出てきたのは、別のふたりだった。

「ジャイアンツのヨシムラ(吉村禎章)は、当時はまだ若かったけど、彼は間違いなくメジャーでもスターになれたよ。それにライオンズの一塁手、キヨハラ(清原和博)ね。リーグが違ったから少ししか見る機会がなかったけど、広角に打ててパワーがあった。彼もメジャー級の打者だったね」

【ドライバーから再び野球界へ】

 ポンセが日本でプレーした時代、つまり1980年代後半から90年代初めは、日米のプロ野球がもっともハイレベルだったと語る人は多い。メジャーは今より4球団少ない26球団で、日本は空前のバブル景気。現行の30球団ならメジャーでプレーできていたレベルの選手が日本に「助っ人」として流れ着き、ジャパンマネーは時として現役バリバリのメジャーリーガー獲得も可能にした。

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