斎藤佑樹が明かすマー君への複雑な想い 田中将大とのプロ初対決後の「4年間の差」発言の真相

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Sankei Visual

連載「斎藤佑樹、野球の旅〜ハンカチ王子の告白」第37回

 2006年、斎藤佑樹は夏の甲子園で勝って全国の頂点に立った。その日から5年の時を経た2011年9月10日。駒大苫小牧からイーグルスへ入団した田中将大はプロ5年目にして通算で60の勝ち星を積み重ね、世代トップを独走していた。そして、ルーキーの斎藤は5勝を挙げている。この2人が、プロで初めて先発として投げ合うことになった。

2011年9月10日、プロ入り後はじめて対戦した斎藤佑樹(写真左)と田中将大2011年9月10日、プロ入り後はじめて対戦した斎藤佑樹(写真左)と田中将大この記事に関連する写真を見る

【マー君との5年ぶりの再戦】

 あれは9月でしたか......。あの時は8月末くらいからマー君(田中将大)と僕の先発する日が同じになったんです。そうすると周りからは、ローテーションどおりにいけばこの日に投げ合うんじゃないか、ということは言われていました。だから、なんとなくそういうことになるんだろうと思っていました。

 結果は、完投しましたが(8回、123球、被安打10、与四球1、奪三振1、プロ初完投、斎藤はこれで5勝4敗)、1対4で負けました。あの試合、マー君も完投したんですよね(9回、118球、被安打5、与四球1、奪三振12、15勝4敗)。

 真っ先に思い出すのは背番号0の左バッター、内村(賢介)さんの打席です。初回、ワンアウトから2番の内村さんにセカンドの右へ高いバウンドのゴロを打たれて、これが内野安打となった。それをきっかけに先制点を与えてしまいました(3番の高須洋介のレフト前ヒットでワンアウト一、三塁、4番の山?武司がライトへ犠牲フライ)。

 その後、5回までは0−1でいったんですが、6回、追加点を与えてしまいます。高須さんにアウトハイのカットボールをうまく流されてライト前ヒット。その高須さんを二塁に置いて、5番の(ルイス・)ガルシアに低めのフォークボールかチェンジアップを拾われて打たれた気がします。

 それがタイムリーとなって2点目をとられてしまった......あの場面を抑えきれば、まだまだ勝負できるチャンスがあったはずなのにな、と思っていました(この回、さらに中村真人、嶋基宏にもタイムリーを打たれて3失点、0−4となる)。

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