プロ野球選手でも答えられないルール!? スリーバントの誤解、人気漫画の名シーンなど元プロ審判・坂井遼太郎が解説 (2ページ目)
●日本シリーズの"幻のホームイン"も間違えがち
続いて、プロアマ問わずよく見かける場面で適用されるルール。ピッチャーが投げた球をキャッチャーが捕り損ね、ボールがそのままベンチに入ってしまう。
昨年の日本シリーズ、オリックス対ヤクルト第2戦、延長12回表2アウト、ランナー2塁でも実際に起こった。2塁走者が3塁を回りさらにホームへ進み、オリックスベンチは大喜びしたが、ボールデッドとなったためランナーは3塁に戻された。
「アマチュアの指導者の方々にもぜひ、おさえておいてほしいルールですね。ポイントとなるのが投球開始時点からランナーの進塁をカウントすること。
ルールでは、投手板に触れているピッチャーの投球がそれて、ダッグアウトやスタンドなどに直接入った場合、ひとつ進塁が認められることになっています。つまり、ボールデッドゾーンにボールが入ったタイミングは関係ないんです」
●タイムプレーは全力疾走が基本
次に、野球選手にとっても視聴者にとっても「めちゃくちゃ重要なルール」として坂井さんが挙げるのがタイムプレーだ。
今シーズン5月18日の中日対阪神戦、8回裏2アウト1、2塁の場面でそれは起きた。中日の村松開人の打球がレフト線を破った。2塁ランナーの石川昂弥は本塁へ向かったが、手前でスピードをゆるめてしまった。そのスキを逃さず、阪神のノイジーはレフトから3塁へ送球し、1塁走者をアウトにし、3アウトチェンジ。
「中日はリクエストをしましたが、判定はひるがえらず、絶好の得点機会を失ってしまいました。この場面では、3アウト目が成立する前にランナーは本塁生還しなければなりませんでした。
タイムプレーとは、第3アウトと走者のホームインのどちらが早かったのか、というプレーを指します。この場面では、全力疾走が基本。それなのにネクストバッターがジェスチャーでゆっくりと指示したり、ランナーが余裕をもって走ったりするのをたびたび目にするのは、ルールの理解不足ではないでしょうか。
勝敗を分けるスリリングな場面なので、タイムプレーでの選手それぞれの動きを追うと野球の面白さが増します」
プロ野球審判時代の坂井さん 写真/本人提供
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