セ・リーグ新人王レースは阪神・村上頌樹がリード 巨人勢の逆襲は? 笘篠賢治が予想 (3ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi
  • photo by Koike Yoshihiro

── シーズン前は、ルーキー・吉村貢司郎(ヤクルト)投手あたりがセ・リーグ新人王レースを引っ張ると予想されていました。

笘篠 鳴り物入りでプロ入りしても、1年目から活躍できないのは球界のレベルが上がっているからだと思います。吉村投手は独特な"振り子投法"で、オープン戦では好投しましたが、他球団の打者も研究したのでしょう。ただ、持っているものはすばらしいですし、ここからどう巻き返していくか楽しみです。

── 笘篠さんは、打者では野村謙二郎(広島)さん、投手では加藤博人(ヤクルト)を抑えての新人王受賞でした。経験者目線で、新人王争いでポイントになるところはどんなところだと思いますか。

笘篠 アマチュアの選手は、長丁場の戦いを経験したことがありません。それがプロに入ると約半年間試合が続き、とくに毎日試合に出る野手は、オールスター以降、体力面で疲労が蓄積してきます。また前半戦のデータを分析させ、弱点、欠点があればそこにつけ込まれます。そんななかで結果を残せたら自信になるでしょうし、さらにチームの勝利に貢献できればポイントも上がるはずです。

 最後にひとつ、受賞者の立場から提案があります。私は新人王をいただいたことで自信がつき、それ以降のプロ生活において糧となりました。新人王は一生に一度、リーグでひとりしか受賞できません。しかし、投手と野手の比較は一概にできません。ならば、投手、野手とそれぞれひとりずつ選んでもいいのではないでしょうか。いなければ「該当者なし」でもいい。受賞によって自信をつける人がひとりでも増えたほうが、球界の発展につながります。時代も変わってきましたし、一考の価値があると思いませんか。


笘篠賢治(とましの・けんじ)/1966年10月11日、大阪府出身。上宮高から中央大に進学し、大学時代の1988年ソウル五輪の代表に選ばれ、銀メダル獲得に貢献した。同年ドラフト3位でヤクルトに入団。1年目からセカンドのレギュラーを獲得し、俊足を生かして32盗塁をマーク。セ・リーグ新人王に輝いた。その後もユーティリティプレーヤーとして活躍。しかし94年からケガの影響もあって出場機会を減らし、98年広島に移籍する。99年引退、そのまま広島一軍守備走塁コーチを3シーズン務めた

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