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DeNAのドラフト1位ルーキー・松尾汐恩が受けたプロの洗礼 「このピッチャーを打てなければ上で通用しない」 (2ページ目)

  • 石塚隆●文 text by Ishizuka Takashi
  • photo by Koike Yoshihiro

 爽快な一発も魅力だが、泥臭い一打も印象深い。4月28日のロッテ戦(横須賀)では、4対4の10回裏、無死ランナー三塁の場面で打席に入ると、6球目、ゾーンから逃げていく外角低めのスライダーを完全に体勢を崩されながらセンター前へはじき返し、サヨナラ勝利を演出した。松尾の粘り勝ちだった。

「あの打席は、自分有利のカウントでしっかり振れていましたし、ボールの見極めができていたことで結果が出たのかなって思います」

 先のホームランもしかり、ここぞという場面で松尾は集中力が増すように感じられる。

「一打席一打席が大事なのには変わりはありませんが、やっぱりチャンスのほうが、チームの勝利に貢献したいという気持ちがバッと上がってくるので、そういう意味では集中でき、結果が出やすいのかもしれませんね」

 勝負師として大事な資質。松尾のこの言葉には、頼もしさを感じずにはいられなかった。

【早いカウントでの空振りはOK】

 また特筆すべきは、打席数から考えると三振の数がほかの選手と比べ極端に少ないということだ。現在、わずか10しか三振をしていない。積極的にコンタクトできていることの証明ではあるが、自分としてはどのように考えているのだろうか。

「あまり気にはしていなかったのですが、ボールにコンタクトすることには自信を持っているので、結果的にボールにしっかり入っていけているのかなって。自分の打てるゾーンは早いカウントから振っていかないとタイミングが合ってきません。だから『早いカウントでの空振りはOK』という気持ちでスイングしています。そうすることでタイミングも合ってきますし、三振が少ないことにつながっているのかなって思います」

 相手投手のデータの研究は日常的に行なっており、どのようなアプローチで打席に入るのか、まだ手探りながら自分のスタイルを確立しようとしていることがわかる。さらなる高みを目指す松尾の援軍になってくれているのがファーム打撃コーチ陣である。

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