阪神・佐藤輝明と森下翔太の打撃は「重症」か 開幕から「打てない理由」を伊勢孝夫氏が分析
開幕9連敗を喫した昨季とは違い、今季は好調なスタートを切った阪神。ただ、打線はここまで(4月21日現在)チーム打率.230と鳴りを潜めている。なかでも佐藤輝明、森下翔太は開幕から調子が上がらず、森下に至っては二軍落ちとなった。では、ふたりの不調の原因はどこにあるのか。近鉄、ヤクルトなどで打撃コーチを歴任し、現在は野球評論家の伊勢孝夫氏に診断してもらった。
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【中村悠平に揺さぶられた森下翔太】
開幕まもない頃、バッテリーが打者に対する時、一般的には前年に抑えたパターンで入っていくものだ。もしその攻めが通用しなければ、打者が研究してきたということで、配球パターンを修正して攻める。
また新人が相手なら、オープン戦のデータを参考に得意、不得意な球種、コースを探りながら対していく。そして対戦がひと回りした頃、新しいデータを加えて対策を練り直すことになる。
オープン戦から持ち前のパワフルさで好打を連発していた森下が急に打てなくなったのは、特別なことではない。それまで外角主体だった配球が、内角も攻められるようになったからだ。
それが顕著だったのは、4月7日のヤクルト戦あたりからだ。おそらく、先乗りスコアラーからこんな情報が入っていたのではないか。
<森下は思いきりのよさとパンチ力あり。とくに半速球は要注意。コース的にも内外角を強く叩ける。ただし、150キロ以上のストレーにはまだ押される感じ。内を見せて、外の低めで打ちとるパターンでしばらくはいけるか>
それまで、広島などのバッテリーはさほど厳しい内角のボールは使わなかったが、ヤクルトの捕手・中村悠平は効果的に内角を挟んで翻弄していた。打者としては、内角を意識すると外のボールは見えづらくなる。森下とすれば、内角も外角も打ってやろうと躍起になり、結果、どちらも打てなくなったのだろう。この攻めというのは、新人にとってはいわば通過儀礼のようなものだが、森下はドツボにはまった。
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著者プロフィール
木村公一 (きむらこういち)
獨協大学卒業後、フリーのスポーツライターに。以後、新聞、雑誌に野球企画を中心に寄稿する一方、漫画原作などもてがける。韓国、台湾などのプロ野球もフォローし、WBCなどの国際大会ではスポーツ専門チャンネルでコメンテーターも務める。