オコエ瑠偉、田中正義は新天地で躍動、藤原恭大はパ・リーグ首位打者 期待を背負って入団したドラ1たちの現在地 (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Koike Yoshihiro

 複数のプロ野球経験者から、こんな声を聞いたことがある。

「『こいつはこういうところがダメ』と一度レッテルを貼られてしまうと、イメージを覆すのはなかなか難しい。環境が変わればリセットされるので、先入観なく自分のいい部分を見てもらえる」

 まだシーズンは始まったばかりだが、オコエの躍動ぶりを見ていると「現役ドラフト」の存在意義を早くも実感せずにはいられない。

 同年のドラフトでオコエ以上の争奪戦が繰り広げられた高校生野手は、平沢大河(ロッテ)だった。しなやかなバットスイングが評価され、2球団の重複1位指名の末にロッテに入団している。

 入団3年目の2018年には112試合に出場して足がかりを得たものの、右ヒジ痛など故障禍で勢いに乗れなかった。2020年から2年連続で一軍出場なしに終わり、昨季はわずか13試合の出場。お立ち台に上がるなど見せ場もつくったが、結果的に打率.148に終わった。

 "次期遊撃レギュラー候補"のつまずきは、球団編成にも影響を及ぼした。ロッテは藤岡裕大(2017年2位)、小川龍成(2020年3位)など、毎年のように遊撃手候補をドラフト指名し続けている。2022年は友杉篤輝(2位)、金田優太(5位)、勝又琉偉(育成3位)、黒川凱星(育成4位)と育成選手を含め4名の遊撃手を獲得。もちろん全員を遊撃手として育成するわけではないにしても、平沢が早期レギュラー定着していれば違った形の編成になったはずだ。

 背水のシーズンに臨む平沢は、オープン戦で打率.280とまずまずの結果を残した。現在は外野を中心に、三塁や遊撃など複数ポジションをこなしてユーティリティープレーヤーとして一軍定着を狙っている。

 4月8日の楽天戦では逆転2ラン本塁打を叩き込み、復活の狼煙をあげた。とはいえ、1割台前半の低打率に喘いでいるだけに、ここが正念場だ。

【5球団1位指名の怪物がついに覚醒か】

 2016年のドラフト会議で5球団から1位指名を受けた田中正義(日本ハム)も、いよいよ飛躍の時を迎えている。

 創価大3年時には若手中心に編成されたNPB選抜を相手に、7者連続奪三振をマークするなど圧倒的な投球を見せた。明らかにモノの違いが伝わるストレートは、プロでの華々しい活躍を予見させた。

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