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なぜ30歳の元メジャーリーガーが独立リーグへ? 茨城アストロプラネッツのGMはどうやって選手と代理人を口説き落としたのか (4ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Getty Images

【エージェントは悪者ではない】

 ハンソンとアストロプラネッツの交渉は2カ月に及んだ。

 元メジャーリーガーのハンソンはよりよい条件を要求してきたが、BCリーグではサラリーの上限が定められている。無い袖は振れない。アストロプラネッツはハンソンを含め3人の候補に絞るなか、シーズン開幕が近づくとともにチーム編成のタイムリミットが迫ってきた。

 ギリギリで契約合意に至ったのは、球団と選手の橋渡し役になってくれる存在が大きかった。色川GMが振り返る。

「契約交渉で大事なのは、エージェントをどういう立ち位置につけるかです。優秀なエージェントこそ、選手と球団の両方のサイドにつくものです。

 何度もやり取りするなかで、独立リーグにはお金がないという現実をわかっていました。メキシカンリーグに行けば何百万円を稼げるかもしれないけれど、未来を考えたら日本でチャレンジすることのほうが価値があるとエージェントが理解してくれれば、選手にうまく話をしてくれます」

 日本球界ではエージェントの役割が十分に理解されておらず、移籍条件をつり上げる"悪者"のようなイメージが強い。だが本来、エージェントは必ずしもそうした存在ではない。色川GMが続ける。

「たとえば、選手がわがままになって文句を言い始めると、どうしても『球団vs選手』になります。球団の立場からすれば、できることの"ライン"がある。エージェントは両者の間に入り、関係性をよくするのが一番の仕事です。

 みんなにとって最終的なゴールは、選手がいいパフォーマンスを発揮すること。そのために互いがそれぞれの役割を理解し、三位一体になることで、選手はいいパフォーマンスを発揮できる。選手と球団の関係をつないでくれるエージェントは、基本的に"敵"ではなく、本来は"仲間"です。エージェントがいるから、できることがたくさんあります」

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