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なぜ30歳の元メジャーリーガーが独立リーグへ? 茨城アストロプラネッツのGMはどうやって選手と代理人を口説き落としたのか (3ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Getty Images

【もう一度ビッグリーグで...】

 では、BCリーグのアストロプラネッツにはどんな利点があるのか。色川GMは、ハンソンをこう口説いた。

「お金を稼ぐことが目的なら、うちに来るべきではない。機会と経験が最大の優先事項であるなら、うちはそのすべてを提供できる」

 機会とは、NPB球団にアピールするチャンスだ。

 ハンソンはまだ30歳だが、メジャーリーグでのプレーは2019年を最後に遠ざかっている。2021年は3Aで40試合に出場し、FA(フリーエージェント=自由契約)に。翌年の通常シーズンは無所属で、秋以降のシーズンオフに母国ドミニカのウインターリーグで26試合に出場した。無所属だった理由について、色川GMが説明する。

「お腹を痛めて、野球をするのもままならず、病院と家を行き来したそうです。それが夏に治り、ウインターリーグでプレーを再開したと」

 体調不良を抱えていた一方、納得できる契約がどの球団とも得られなかったからプレーしなかった可能性も考えられる。日本では珍しいが、海外ではあり得るケースだ。

 だが、あらゆる選手は毎年、確実に歳を重ねていく。徐々に引退が近づいて来るなかでキャリアをどう築いていくのか。ハンソンにはそうしたタイミングでアストロプラネッツからオファーが届いた。色川GMが続ける。

「MLBという世界最高峰まで行って、何らかの理由で夏のシーズンにプレーできない時期があった。ハンソン本人は『まだできる』と思っているけれど、いろんな折り合いがつかずにプレーしていなかったなかで、自分がもともと持っていた目線を下げつつ、だけどビッグリーグでもう"1ショット"打ちたい。

 ビッグリーグというのはメジャーリーグかアジア(日本か韓国)なのか、という岐路に立たされたタイミングで、うちの球団から話が来た。悩んだ末に日本でのチャレンジを決めたのかもしれません」

 NPB球団は、年末までに新外国人選手と契約するケースが大半だ。対して世界中でFAになった選手たちは、年が明けたあともよりよい条件を求めて交渉し、アメリカ、日本、韓国、台湾、メキシコなどから新天地を探していく。

 プライオリティは下がるが、独立リーグも候補だ。一方、各球団は保有できる選手の枠や予算があるなかで、チームによりフィットしそうな選手を見つけ出す。

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