ヤクルト23人の投手が語った「増やしたいもの、減らしたいもの」 体脂肪を減らしたいと語った投手は? (6ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Taguchi Yukihito

【ポスト・マクガフは?】

 昨年オフ、これまでスワローズのクローザーに君臨していたスコット・マクガフが退団。髙津監督は新クローザーを誰にするか明言していないが、新外国人のケラ、石山泰稚、清水昇、田口麗斗が有力候補に挙がっている。

 石山は「個人的には登板数を増やしたい。50から60試合は投げたい」と話した。

 クローザー経験も抱負なベテラン右腕は、朝は誰よりも早くランニングで体を動かし、キャンプ中のブルペンでは一番乗りと最終日のトリを飾った。

「僕は中継ぎですが、球数を減らしたい。球数が多すぎると次の日に影響が出ますし、それが登板数にもつながるので。今年はフルに一軍にいて、どんな時でも使ってもらえる信頼感のあるピッチャーになりたいと思っています」

 セットアッパーの清水は「今年は開幕が1週間遅い分、キャンプではじっくりやれています」と、第2クールまでブルペンに入ることを我慢した。

「増やしたいことですか? なかなか難しい質問ですが、投げるイニングを8回から9回に......ですね。減らしたいのは防御率です。去年は課題としていた被本塁打が1本だったので、今年は防御率0点台を目指していきたい」

 田口は「競争心というものを増やして、自分の思うように体を動かせるように体脂肪を減らしたいですね」と笑顔をみせた。

 昨年、貴重な中継ぎ左腕は"火消し"として無死満塁のピンチの場面などでマウンドに送り出され、役割を見事に果たしてベンチへ帰還した。

「クローザーを狙いにいく気持ちでやっていけば、高いレベルで競争ができるでしょうし。この前の投手会では石山さんに『競争したいです!』って宣戦布告しました(笑)。新外国人のケラもいて、清水もいますし、競争心を強く求めていきたいなと思います。今年はプロ10年目になるので特別なシーズンにしたいですし、いい1年にしたいなと思います」

 髙津監督に選手たちから聞いたことをいくつか伝えると、こんな言葉が返ってきた。

「たとえば選手の声にあった初球ストライク率とか盗塁を増やしたいというところも、自分の目標として、目標達成のためにそれを考えるだけでも成長していると感じます。みんなができる、できないでなく、そうやって考えることでチーム力って大きくなるでしょうし、意識を変えることがチーム力のアップにつながると思っています」

 今年のキャンプを見て、そして選手の話を聞いて感じたことは、練習にも考えにも隙がないということだった。スワローズのチーム力は、一昨年よりも、昨年よりも強固になっている。

プロフィール

  • 島村誠也

    島村誠也 (しまむら・せいや)

    1967年生まれ。21歳の時に『週刊プレイボーイ』編集部のフリーライター見習いに。1991年に映画『フィールド・オブ・ドリームス』の舞台となった野球場を取材。原作者W・P・キンセラ氏(故人)の言葉「野球場のホームプレートに立ってファウルラインを永遠に延長していくと、世界のほとんどが入ってしまう。そんな神話的レベルの虚構の世界を見せてくれるのが野球なんだ」は宝物となった。以降、2000年代前半まで、メジャーのスプリングトレーニング、公式戦、オールスター、ワールドシリーズを現地取材。現在は『web Sportiva』でヤクルトを中心に取材を続けている。

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