侍ジャパン、歓喜の世界一 決勝戦でのリアル二刀流に「大谷翔平のためのWBCだった」と攝津正は脱帽 (2ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Getty Images

 そして2回裏の2点目は、ラーズ・ヌートバー選手のファーストゴロの間に入ったものです。タイムリーヒットが出なくても1点をとれたことが、結果的にこの試合を接戦で制することができた要因だと思います。

【世界に証明した日本投手陣の実力】

 僕の戦前の予想としては、打ち合いになったら分が悪いと考えていました。もし序盤にホームランが出て、お互いのピッチャーが崩れてという試合展開だったら、アメリカ打線を考えると少し怖いと感じたからです。

 でも日本のピッチャーは次々とレベルの高さを示し、逆にアメリカもピッチャーをつないで接戦になりました。そうした試合展開を考えると、内野ゴロの間に1点とるという、日本らしい点のとり方ができたことが大きかったです。

 日本は序盤に奪ったリードを守っていく形になり、栗山英樹監督は3回から先発の今永投手に代えて2番手の戸郷投手を送りました。前日の準決勝で2番手に山本由伸投手を使った時点で、もし決勝に進んだら序盤から継投になると思いました。

 アメリカ戦では、日本の投手陣で一番状態のいい今永投手を先発に立てて、調子がいい順にほかのピッチャーも投入していくという形になりました。それだけ日本には、いいピッチャーが揃っていたということです。

 アメリカ戦も含め、大会を通じて日本の投手陣は低めにしっかり投げることができていました。落ちるボールをしっかり低めに投げて空振りやゴロをとるというピッチングができていたのは、さすがだなと感じましたね。

 アメリカ戦では、試合序盤からインコースを容赦なく攻めていました。逃げずに攻めきれたからこそ、トラウト選手のバッティングを崩し、詰まらせることができた。大舞台でそうしたピッチングを実践できるのはすばらしいです。

 今大会における日本の戦いぶりを振り返ると、栗山監督のマネジメントも光りました。メジャーリーガーも呼んで日本の"ドリームチーム"をつくったのは、おそらく栗山監督にしかできなかったと思います。うまく選手をやりくりして世界一に導きました。

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