「栗山英樹監督の勝負勘がさえていた証」村上宗隆と吉田正尚の打順入れ替えに成功 岩村明憲が指摘する準決勝の課題 (3ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Kyodo News

 栗山英樹監督はふたりの打順を入れ替えることに関し、相当悩んだと思います。「4番は村上でいく」という覚悟のもと、1次ラウンドの4試合を戦ってきただけに、変えたくないという思いはあったでしょう。ただ、短期決戦はひとつの判断が大きく結果を左右します。

 そういった意味で、打順を入れ替える決断をし、最高の結果が出た。栗山監督の勝負勘がさえていた証だと思います。

 準決勝はどんな打線で臨むかに注目ですが、このいい流れを変えたくないでしょうし、イタリア戦と同じ並びでいく可能性はあると思います。

 日本にとっては、準決勝からまったく違う戦いが始まると思っていいでしょう。相手のレベルもそうですし、スタジアムの雰囲気も完全アウェーになるかもしれない。さらに、準々決勝から準決勝を迎えるまで、実質4日ほどしかありません。日本と決戦の地・マイアミの時差は13時間。時差調整は選手たちを最も戸惑わせる原因になり得ます。こればかりは気持ちだけでどうすることもできません。実際、僕がメジャーでプレーしている時は、アメリカ国内の3時間の時差でも大変でした。

 いずれにしても、環境は180度変わりますが、これまでの戦いを変える必要はありません。しっかり自信を持って、できる限りいいコンディションで臨んでほしいですね。そうすれば自ずと結果はついてくると思います。

プロフィール

  • 中島大輔

    中島大輔 (なかじま・だいすけ)

    2005年から英国で4年間、当時セルティックの中村俊輔を密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『山本由伸 常識を変える投球術』。『中南米野球はなぜ強いのか』で第28回ミズノスポーツライター賞の優秀賞。内海哲也『プライド 史上4人目、連続最多勝左腕のマウンド人生』では構成を担当。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る