斎藤佑樹が語る「伝説の優勝スピーチ」と「持ってる発言」の真相。「自信がないことを悟られたくなかった」 (2ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Sankei Visual

 その後のことはあまり触れてはいけないのかもしれませんが(苦笑)、早稲田のもうひとつの"伝統"として、寮に戻ってからの優勝祝勝会があるんです。当然、僕はまだ1年生だからお酒は飲めないんですが、先輩たちの「かんぱーいっ」という発声で、ジュースで乾杯。そこからみんながウワーッと盛り上がるわけです。やがて4年生のコールが始まります。コールするのはメンバー外とか、メンバーには入っているけど試合にはそんなに出ていなかった4年生たちです。

 そういう4年生が、試合で活躍した下級生たちに誰彼となく抱きつく雰囲気がありました。あの時も3年生の上本(博紀)さんや松本(啓二朗)さん、須田(幸太)さん、細山田(武史)さん、ほかにも試合に出ていた下級生のメンバーが、4年生たちに抱きつかれまくってました。「上本っ、上本っ」「まっつもとっ、まっつもとっ」「上本、ありがとう」「松本、ありがとう」と順番にコールされて、4年生たちが抱きついてきます。

 で、「上本、チューしようぜ」みたい流れが僕らにも来る。僕も抱きついてもらって、「斎藤、斎藤」「ありがとう」「ありがとう」と言ってくれるんです。正直、戸惑いもありましたけど(苦笑)、うれしかったなぁ。つまりはこれって、先輩方に認めてもらった証なのかなと思って......1年春の優勝は、そんなことも含めて、大学で野球をやっていくうえでの自信になりましたね。

【大学選手権33年ぶりの優勝】

 6月には全日本大学野球選手権がありました。僕は準決勝の創価大戦、決勝での東海大戦に続けて先発、早稲田が久しぶり(33年ぶり)に優勝しました。僕の記憶に残っているのは大会が始まる前、應武(篤良)監督に呼ばれて「準決勝、決勝、どっちも先発でいくぞ」と言われた時のことです。

 日程を見ると、そこはたしか連戦だった(6月16、17日)と思うんです。リーグ戦だったら「土曜にいくぞ」とか、「日曜だからな」みたいな感じの言われ方だったのに、両方いくぞ、と言われて驚きました。

 それも「どっちの試合も5回までだからな」と言われて、その意図が何だったのかはハッキリとは覚えていないんですが、たぶん優勝を決めた早慶2回戦のイメージがあったんじゃないかと思います。

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