斎藤佑樹が語る「伝説の優勝スピーチ」と「持ってる発言」の真相。「自信がないことを悟られたくなかった」 (3ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Sankei Visual

 僕が先発して6回を投げて、松下(建太)さんが7回からの2回を、須田(幸太)さんが9回を投げて勝ったあの試合......松下さんと須田さんが完璧なリリーフをするというイメージはつくりやすかったと思いますし、「斎藤にも連投させても5回まで投げるスタミナはあるだろう」ということだったのかなと思います。監督から「どっちも行くつもりで準備をしておきなさい」と言われて、僕なりに連投を意識した調整をしていました。

 大学選手権の初戦、早稲田は九州国際大を相手に危ない試合をしてしまいます。松下さんが先発して2−0でリードして9回を迎えたんですが、最後、ツーアウト1、3塁のピンチを背負います。ここで「斎藤、いけ」と言われて、急遽、リリーフ。バッターは松山(竜平、のちにカープ)さんでした。

 3球目のストレート(144キロ)を東京ドームの左中間へ運ばれてフェンス直撃。1点が入って、さらに1塁ランナーもホームを狙います。それをショートの本田(将章)さんの見事な中継プレーで食い止めて、ホームでタッチアウト。辛うじて2−1で逃げきりました。準々決勝は神宮に舞台を移して須田さんが先発、関西国際大に大勝(16−3)して、いよいよ準決勝を迎えました。

 勝ち上がってきたのは創価大です。僕は立ち上がり、相手の4番バッター(小早川伸仁)にタイムリーを打たれて1点を先制されてしまいます。それでも1回裏、打線が大爆発。あっという間に6点をとって逆転してくれたので、2回からはリズムよく投げられました。予定どおり5回を投げて、あとは松下さんと須田さんがリリーフして、ついに決勝進出(10−1)、相手は東海大学です。

【史上初の1年生MVP】

 いま思えば、あの時の東海大には荒波(翔、のちにベイスターズ)さん、加治前(竜一、のちにジャイアンツ)さん、市川(友也、のちにジャイアンツ、ファイターズ、ホークス)さんと、のちにプロ野球に進む選手が何人もいたんですよね。僕はあの試合、ストレートがそんなによくなかったけど、変化球がよかったイメージがあります(4番の加治前をスライダーとフォークで続けて空振り三振に打ちとった)。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る