高木豊が「バットコントロールがうまい歴代の選手」を厳選。ブレイク前のイチローのすごさに思わず「なんで試合に出てないの?」と質問した (3ページ目)
――当時のイチローさんと会話する機会はありましたか?
高木 その前年(1993年)だったかな。僕が横浜にいた最後のシーズンにオープン戦でオリックスと対戦したんです。僕はサードで試合に出ていたのですが、まだ一軍でブレイクする前のイチローが右中間に低いライナーの三塁打を打ったんです。
その打ち方がすごくよかったので、塁上のイチローに「なんで(今まで一軍の)試合にあんまり出てないの?」と聞いたら、「わかりません」と答えたので「絶対に一軍の試合でも打つと思うけど、使われていないのが不思議だね」と話しかけた記憶があります。その後に「でも自信はあるだろ?」と聞いたら、「はい」と言っていましたよ。そのくらい打ち方、バットコントロールが素晴らしかった。肘や膝を柔らかく使いながら、体全体でボールを捉えにいく。バッティングに必要なものをすべて兼ね備えている、という感じでしたね。
映像でしか見たことがない選手では、長嶋茂雄さんのバットコントロールもすごいと思いましたが......実際に見たバッターに限定すると、飛び抜けていたのは篠塚さんとイチローですね。
(現役選手編:「バットコントロールがうまい現役選手」を分析。セ・パともにベスト3を選んだ>>)
【プロフィール】
高木豊(たかぎ・ゆたか)
1958年10月22日、山口県生まれ。1980年のドラフト3位で中央大学から横浜大洋ホエールズ(現・ 横浜DeNAベイスターズ)に入団。二塁手のスタメンを勝ち取り、加藤博一、屋鋪要とともに「スーパーカートリオ」として活躍。ベストナイン3回、盗塁王1回など、数々のタイトルを受賞した。通算打率.297、1716安打、321盗塁といった記録を残して1994年に現役を引退。2004年にはアテネ五輪に臨む日本代表の守備・走塁コーチ、DeNAのヘッドコーチを2012年から2年務めるなど指導者としても活躍。そのほか、野球解説やタレントなど幅広く活動し、2018年に解説したYouTubeチャンネルも人気を博している。
■元プロ野球選手のYouTuberのパイオニア
著者プロフィール
浜田哲男 (はまだ・てつお)
千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。
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