西武・平良海馬は先発で通用するのか? 最優秀中継ぎ→最多勝の偉人・攝津正が語る「成功の心得」

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi
  • photo by Koike Yoshihiro

 昨年、34ホールドをマークし「最優秀中継ぎ」のタイトルを獲得した西武・平良海馬が先発転向を直訴し球団が容認。今季から先発として新たなスタートをきることになった。かつてソフトバンクで中継ぎから先発に転向し、最多勝、沢村賞を獲得するなど大成功をおさめた攝津正氏に"成功の秘訣"を聞いた。

今シーズンから先発としてマウンドに上がる西武・平良海馬今シーズンから先発としてマウンドに上がる西武・平良海馬この記事に関連する写真を見る

【先発の体に慣れること】

── 西武の平良海馬投手が、オフの契約更改交渉の席で先発転向を訴え、認められました。投手はやはり先発をやりたいものなのでしょうか。

攝津 やはり先発は投手の花形ポジションですし、「試合をつくる」「勝敗を左右する」という意味で魅力があります。誰もがやりたいと思いますし、平良投手の気持ちは理解できます。昨シーズン終盤の平良投手の投球を見ていたら、変化球が増えていたので先発転向を視野に入れているのかなと思っていました。

── 平良投手の境遇は、攝津さんに似ています。

攝津 そうですね。私はドラフト5位入団で、平良投手は4位入団。新人王、最優秀中継ぎのタイトルを獲得し、リリーフから先発に転向するという点でも同じですね。

── 中継ぎ投手と先発投手、調整や準備の違いはどのようなところにありますか。

攝津 昨今の野球は、リリーフについてはほぼ1イニング限定です。一方で先発投手は、5イニングとか6イニング以上の長い回を投げます。それに1イニング投げたあと、味方の攻撃を経て、またマウンドに上がります。大事なことは、味方の攻撃の間に、どれだけ早く心拍数などの数値を平常値に回復させられるかどうか。

 投げること自体は同じなので、先発投手の球数さえ投げることができれば、そんなに苦労することはないと思います。練習方法としては、インターバル走などをとり入れて心拍数を回復させる訓練をする。先発の体に慣れさせることが重要だと思います。

── ほかに重要なことはありますか。

攝津 とにかく先発は、同じリズムで投げることです。初回に2〜3点とられて、あとは0点で抑えるという波をつくるのではなく、失点するにしても最少失点に抑えて淡々と投げる。いずれにしても"試合勘"をつかむことが大事です。

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