中嶋聡、谷繁元信、古田敦也とバッテリーを組んだ国立大初のドラフト1位選手・杉本友が語る3人の捕手力 (2ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi
  • photo by Sankei Visual,KoikeYoshihiro

NPB歴代1位となる3021試合に出場した谷繁元信NPB歴代1位となる3021試合に出場した谷繁元信この記事に関連する写真を見る

── 古田さんはいかがでしたか。

杉本 古田さんは「その投手に応じて、どういう球を投げれば打者を抑えられるか」というのを考えます。たとえば、「スギちゃん(杉本)のキレるスライダーは右打者には通用するが、左打者で困った時はシュート系かフォークを投げなさい」とアドバイスを受けました。それをブルペン捕手にも伝えてくれているので、登板直前にその球種をしっかり練習します。だから、投手は古田さんのリードどおりに投げれば、抑えられるのだと思います。

【静の谷繁元信、動の古田敦也】

── キャッチング、フレーミングはいかがでしたか。

杉本 中嶋さんは星野伸之さんのカーブを素手で捕った逸話がありますが、プロ野球史上最長の29年間、現役でプレーした捕手ですから、もちろん秀でたキャッチングでした。谷繁さんは絶対に動かさない。動かさないで「ここに投げてきたんだ」と投手に見せてくれる。ミットが流れることで、ストライクをボールと判定されないように、捕った位置で止める。ミットをピクリとも動かさない、まさに"静のキャッチング"です。

 対照的に古田さんは、本塁ベースの外から内にミットを入れて捕る"動のキャッチング"。さらに古田さんは、アバウトなコントロールでいい時はゆったりと構え、「どうしてもここに投げてこい」という時は、体を小さくして構えます。メリカリの効いた構えという印象を受けました。

── スローイングについては、3人とも強肩として鳴らしていました。

杉本 中嶋さんのイニング間練習での二塁送球は、しゃがんでいる私のすぐ頭の上を通過していく。それほど低空です。何度も「頭に当たったらどうなるのだろう」と。しかも140キロを超す恐ろしいスピードで、思わずマウンドに這いつくばりたくなるほどでした(笑)。

── 谷繁さんはどんな印象を持たれていましたか。

杉本 谷繁さんは、捕ってから投げるまでのスピードがとにかく早い。ふつう「捕ってから1、2」で投げるのですが、谷繁さんは「捕ってから1」で投げるイメージです。だから捕った位置から、テイクバックなしに押し出して投げるように見えます。それでいて、速くてコントロールされた送球がいくわけですから、地肩が強いのでしょうね。

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