石毛宏典は西武の指揮官・辻発彦をどう見ていたか。「いいさじ加減」ができていたが、松井稼頭央新監督に課題も残した (2ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Sankei Visual

――指導者としては、辻さんは今季で退任するまで西武の監督を6年間務めました。采配や選手起用などをどう見ていましたか?

石毛 私や辻が現役の頃は打順もポジションも固定されていましたが、今の西武は外野手がなかなか決まらない。辻も本当は固定したかったのかはわかりませんが、今はいろいろなデータがありますから、それに従って起用する選手や打順を臨機応変に変えていたのかもしれませんね。

――辻さんの監督就任時は、中村剛也選手や栗山巧選手をはじめ、浅村栄斗選手(現楽天)や秋山翔吾選手(現広島)がいた。そこから山川穂高選手や森友哉選手(現オリックス)が頭角を現わし、源田壮亮選手も加入。打撃力を前面に出したチームで2018年からリーグ2連覇を果たしました。選手に伸び伸びとプレーさせる環境作りに長けていた印象があります。

石毛 それは言えると思います。当然、ベースに厳しさがあった上でのことだと思いますが、選手との距離感の保ち方、接しやすい雰囲気作りなどの"さじ加減"が、今の若い選手に受け入れられたのかもしれません。

 あと、辻は西武時代に広岡さんと森さん、ヤクルトに移籍したあとは野村克也さん、引退後に中日のコーチを務めていた時は落合博満さんと、そうそうたる名監督のもとで選手や指導者としての経験を積んできました。それは少なからず、彼の財産になっているんじゃないですかね。具体的に何を学んだのかは聞いていませんが、いろいろな指導者のやり方を知ることは野球人にとってプラスですから。

――今の西武の打順に話を戻しますが、2022年シーズンは山川選手が不調の時も、辻監督は4番から外すことなく使い続けました。

石毛 山川が打てない時、周囲から辻に対して「4番から外さないのか?」といった質問が多かったみたいですが、「今の西武があるのは、チームが打てない時でも山川がひとりで頑張ってくれたから。だから4番から外すつもりはない」と言っていたようですね。

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