野茂英雄の「珍記録」完投勝利、高校野球での執念の2スイング......。ベテラン実況アナが仕事中に見入った試合ベスト5

  • Text by Sportiva

実況アナウンサー 上野智広氏インタビュー

 スポーツ中継において状況や情報を伝えるだけでなく、解説者の言葉を引き出し、会場の雰囲気や熱気も感じ取りながら言葉を重ねていく実況。過去のスポーツの名シーンを、実況アナウンサーの言葉とともに思い出すことも多いだろう。

 1991年にラジオ局の文化放送に入社し、30年以上前から実況の世界に身を置く上野智広氏は、『文化放送ライオンズナイター』などプロ野球をはじめ、オリンピック競技などのスポーツの実況を担当。2014年にフリーアナウンサーとなって以降も、さまざまなチャンネルで野球を中心に実況やリポーターとして活躍している。

 そんな上野氏が、思わず仕事中に見入ってしまった試合があるという。上野氏は「もう記憶が曖昧なところもありますが......」と前置きしたうえで、「名・珍」試合のベスト5を選んだ。

1994年7月に完投勝利を挙げ、鈴木啓示監督(左)と握手する野茂英雄 photo by Kyodo News1994年7月に完投勝利を挙げ、鈴木啓示監督(左)と握手する野茂英雄 photo by Kyodo Newsこの記事に関連する写真を見る***

【5位】1997年5月7日 NPB 西武×ダイエー 21-0

 西武が福岡ドームで、毎回得点を記録した試合です。西武打線が重ねた安打は29。それだけ打ったのに、ヒーローインタビューが2安打完封勝利を飾った豊田清さんというのも面白かったですね(笑)。

 ダイエー側の1本目のヒットは、試合中盤の湯上谷竑志さんのセーフティーバント。実況席も「これで1安打だったらどうする?」と微妙な雰囲気になっていたので、終盤に2安打目が出た時は、なぜか私も安心しました(笑)。

 勝負は早めに決しましたから、実況する側としては西武の「まだヒットを打っていない選手」が気になってくるんですよ。代打も含めてその日に出場した野手のなかでヒットがなかったのは、河田雄祐さん(来季ヤクルトの一軍外野守備コーチ)、高木浩之(現ライオンズアカデミーコーチ)さんだったと記憶しています。

 ちなみに、変な記録が出た試合でいうと、当時のパ・リーグ史上最長試合(5時間19分)になった1999年9月3日の近鉄vs西武、それを5時間32分に更新した翌年8月29日の西武vsロッテでも実況をしていました。どちらも12回制になってからの試合だったんですけどね。私が実況する試合は長くなる傾向があると自覚していましたが、アナウンサーによって「あいつの試合ではこうなる」といったジンクスもけっこう生まれるものなんです。

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