高津臣吾監督はヤクルト初のリーグ3連覇へ早くも危機感。「これではダメだなと思ったことが収穫」 (4ページ目)
では、これまでに「いけるんじゃないかと感じた選手は?」と聞くと、長岡秀樹と内山壮真の名前を挙げた。
「オカちゃん(長岡)は今年2月の一軍キャンプで見た時に、本当に呼んでよかったと思いました。間近で見て『こんなにできるんだ』『こんなにバットが振れるんだ』と。壮真も体は小さいのに『けっこう振れてるなぁ』と。ふたりがチャンスをつかんだかは別として、よく1年間へこたれずにやることができた。それが成長だと思います。とはいえ、5年後にチームの主力になっていることが大事なので、まだまだ育成は続いていくと思います。
一軍選手として育成することもあれば、二軍監督やコーチに任せて成長させることもあると思います。先を見据えた時に、いろいろな方法で若い選手を育成させていくスタイルは変えないでいくつもりです」
11月20日、松山キャンプ打ち上げの日、高津監督は「よく頑張って2週間を過ごしたと思います」と述べたが、そのあとは厳しい言葉が続いた。
「厳しい言い方になるかもしれないですけど、『これではダメだな』と思ったことが収穫かもしれないですね。これではいつまでたっても石川(雅規)が先発して、青木(宣親)が出て、(山田)哲人、ムネ(村上)が出て......という状態が続いていくのかなと。『ポジションを奪ってやるぞ』とやっているのかもしれませんが、そことの距離は相当あると感じました」
高津監督はこの言葉を、キャンプに参加した全選手の前ではっきりと伝えたという。
「この12月、1月に休む暇はないと思います。2月に再会した時に、この2カ月をどう過ごしたのかがよくわかるように、いいオフにしてほしいですね。走り込み、投げ込み、打ち込み、全部やってきてほしいなと思います。すべての面でレベルアップしないと、このままでは来年は厳しいと思っています」
この松山での2週間で、日本シリーズの悔しさをようやく消化できたのではないだろうか。
「今も間違いなく悔しいです、まだ悔しいです。悔しさを晴らすのはやっぱり勝つしかない。来年が勝負だと思っているので、ちょっと充電しています(笑)。どうやったら勝てるのかを考えている最中です」
若手選手がたくましさを増して春のキャンプを迎えた時、ヤクルト初のリーグ3連覇はグッと近づくことになる。
【著者プロフィール】島村誠也(しまむら・せいや)
1967年生まれ。21歳の時に『週刊プレイボーイ』編集部のフリーライター見習いに。1991年に映画『フィールド・オブ・ドリームス』の舞台となった野球場を取材。原作者W・P・キンセラ氏(故人)の言葉「野球場のホームプレートに立ってファウルラインを永遠に延長していくと、世界のほとんどが入ってしまう。そんな神話的レベルの虚構の世界を見せてくれるのが野球なんだ」は宝物となった。以降、2000年代前半まで、メジャーのスプリングトレーニング、公式戦、オールスター、ワールドシリーズを現地取材。現在は『web Sportiva』でヤクルトを中心に取材を続けている。
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