現役ドラフトの問題点を高木豊が指摘。選手たちの心情、「必ずひとりは獲らなきゃいけない」ルールに疑問 (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Sankei Visual

――出場機会は年俸の高低に関係なく、すべての選手が求めていることですからね。

高木 現役ドラフトの主旨は「出場機会に恵まれない選手の救済」ということですが、今いるチームで頑張れない人間は他のチームへ行っても頑張れないと思います。仮に「移籍した選手は、必ず1年は一軍のベンチから外れない」といった条件があって、実際にそれに見合う選手であればいいですよ。でも、ずっとファームでくすぶっていた選手が他の球団に行って、一軍で試合に出続けるっていうのはちょっと考えられません。各球団がお金をかけて一生懸命に育てようとした選手が、それが叶わずに他の球団へ行ったからといって、出場機会に恵まれるとは思えないんです。

 あと、将来的に伸びしろがある選手は出せませんよね。普通に考えれば、戦力として構想外の選手を出すと思います。そういった選手をひとり必ず獲らなきゃいけないというのは、逆に獲る側の負担にならないのかなと......。選手の立場からすれば、事実上の戦力外みたいなものですよね。

――必ず獲らなきゃいけないというのは負担になる?

高木 シンプルに考えれば、Bクラスに沈んだチームの中には選手層が薄いチームもありますよね。その中から出してもいい2人以上の選手って、戦力の層が厚い強いチームにとって要りますか? 要らないですよね。特別な選手を出すのであればいいですが、特別な選手は年俸5000万を超えてますから。

――高木さんが選手の立場だったとして、自分がリストアップされていたとわかったらどう思いますか?

高木 状況によると思いますが、「球団は自分のことを見捨てたのかな。戦力外と一緒だな」という感じで、前向きなとらえ方はできない気がします。あくまでも僕の考えでは、ですよ。

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