侍ジャパン強化試合で明らかになった「栗山野球」の全貌。目指すべき戦いから見えてきた選出すべき選手は? (2ページ目)

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • photo by Sankei Visual

 その今永は、試合前の練習などで若い選手たちに技術的なアドバイスを送るなど、兄貴分的な存在となっているという。顔ぶれから見ても、今永は3月の本戦でもエース格として投手陣を支えるだろう。

 また戸郷翔征(巨人)、高橋奎二(ヤクルト)、伊藤大海(日本ハム)、髙橋宏斗(中日)といった第2先発として期待される投手たちも大過なくというよりは、期待以上のパフォーマンスを見せた。

 いつもは先発の投手が、イニングの頭からとはいえ、試合途中から登板することの難しさのポイントは2つある。まずは試合の途中から肩をつくるという不慣れな作業に対応できるかどうか。そして同点を含めた僅差の展開、乱打戦など、状況に応じて対峙していかなければならない。

 どの投手も順応力の高さを見せ、WBC使用球も器用に使いこなしていた。豪州戦初戦に今永からバトンを渡された戸郷はしっかり指にかかったボールを投げていたし、2戦目で佐々木のあとを受けた高橋奎は最速152キロのストレートを主体に2回無失点、4奪三振の快投を演じた。

「滑るボールへの対応にはまだまだ改善の余地がありますが、いいアピールができたと思います」(高橋奎)

 第2先発はもちろん、現状、中継ぎに左がいないため、そこでも出番が回ってくるかもしれない。

栗山監督が重視する打線のつながり

 一方、野手については以下の3つがポイントだった。

(1)積極的な走塁
(2)左右に打ち分けるバッティング
(3)試合の流れを変えられる長打力

 そんななか「こういうタイプの選手が栗山監督は好きなのだろう」と感じさせたのが、牧秀悟(DeNA)と近藤健介(日本ハム)だ。

 牧は左右に打ち分ける器用さに加え、長打力もあり、豪州投手陣の微妙に動くボールにもしっかり対応していた。守備でも、昨年以来守っていないという一塁を無難にこなした。

 近藤は選球眼があり、バッティングに巧さもあり"つなぎ役"にはうってつけの存在だ。

「日本を代表する選手たちですから、点をとってくれると期待してしまう。心配ない」と相好を崩す栗山監督だが、強打者を並べるだけで得点を挙げようとは考えていない。あくまで「打線のつなぎ」を最重要視しているように思えた。

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