ヤクルト村上宗隆を少年時代に指導した松永浩美は驚いた。技術、パワー、人間力、すべてが「プロに向いていた」 (2ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo

阪急などで活躍した松永浩美 photo by Kyodo News阪急などで活躍した松永浩美 photo by Kyodo Newsこの記事に関連する写真を見る

小学生の村上に感じた人間力

 指導をしてから数年後、試合で見た村上の活躍ぶりに、松永は驚かされたという。

「たまたま顔を出した時に野球塾の中で試合をやっていて、村上がレフト、センター、ライトと3打席連続でホームランを打ったんですよ。その時は小学5年生くらいだったと思いますが、当時はそこまで体が大きくなかったので、『意外とパワーがあるんだな。すごい子やな』と思いました。

 ただ、私は野球がうまい子はたくさん見てきました。技術の高さ、体の強さや大きさももちろん大事ですが、選手にとって一番必要なのは人間力だと私は考えています」

 その人間力を見るために、松永は指導をする際にあることを試すという。

「例えば、キャッチボールを5組(10人)でやる時に、何も声をかけずに通り過ぎてみるんです。それで、後から『スルーされてどう思った?』と聞いて、『嫌われてると思いました』『相手にされていないんだと思いました』と答える子がいる。そういう子は、そのままだとあまり伸びない傾向にあります。だから、『声をかけなかったのは、悪いところがなかったからだよ。悪かったら、キャッチボールを止めて指導しているから』と言ってあげて、意識を変えてもらえるようにします。

 その点、村上にはほとんど声をかけませんでした。『他の選手にアドバイスをしている時に、近くにいたらそれを聞いといてね』とは伝えましたね。彼のような子は失敗しても落ち込んだり悩んだりするのではなく、失敗した原因と、改善するための方法を自分で考えることができる。すぐに『行動』ができるんです」

 ヤクルトでは若くしてリーダーシップを発揮し、22歳とは思えない貫禄を漂わせている村上。4番打者として活躍するだけでなく、ベンチでも積極的に声を出してチームメイトを鼓舞するなどしてチームを引っ張っているが、その片鱗も小学生の頃から見せていたようだ。

「周囲への気配りがよくできる子で、学年が上がっていくのに合わせて積極的に大きな声を出すようになっていきました。自分の意見もしっかりと言える芯の強さも感じましたし、野球に取り組む姿勢も真っ直ぐだった。『これぐらいは練習しないとうまくならない』という感覚もあったと思います。体の強さ、スイングの速さといったことも含めて、総合的にプロに向いていたんでしょうね」

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