高木豊が大混戦パ・リーグの6球団を分析。前半戦を見て「最も優勝の可能性を感じる」チームは? (4ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Sankei Visual

ロッテは「つながり」と「足」が武器

――投手陣の印象はどうですか?

高木 昨年10勝した小島和哉が1勝なのは誤算ですが、防御率は2.47。佐々木朗希はマメを潰すなどしてたびたび離脱しているものの、投げた時はしっかりと試合を作れます。

 ただ、他の(エンニー・)ロメロや美馬学といった先発陣はしっかりしてほしいところ。先発が試合を壊さなければ、小野郁、東條大樹、タイロン・ゲレーロ、ロベルト・オスナ、益田直也らリリーフ陣が強力ですから。

――近年、得点源として機能していたブランドン・レアード選手とレオネス・マーティン選手の不振が続いているのは気がかりです。

高木 そこを期待しすぎるとストレスになるので、「打てたら儲けもん」くらいに考えておいたほうがいいでしょう。それに、外国人打者だと打たせるしかありませんが、井上や山口航輝だと右に打たせるといった指示も出しやすいと思いますし、今は中軸を外国人選手に任せなくても大丈夫なはずです。

 ロッテはホームランではなく、つながりで勝つチーム。たまにホームランが出ればいい。上位打線は基本的に今のメンバーで固定し、レアードやマーティンが復調して下位を担うようになればベストですね。

――次がオリックスですが、5位とはいえ貯金が「1」。チーム防御率はリーグ2位の2.78と安定しています。主砲の杉本裕太郎選手も、3、4月は長打率が1~2割台だったのが、5月以降は5割前後まで向上するなど復調してきています。

高木 2020年までのオリックスだったら落ちていくだけだったかもしれませんが、そうなっていないのは昨年の優勝が自信になっているように思います。

 春先は杉本がまったくダメで、紅林弘太郎や宗佑磨も不調、吉田正尚が不在という時期もありましたが、ここにきてメンバーが揃ってきましたね。中川圭太がいいですし、紅林の状態も上がってきた。途中から加入した(ジョー・)マッカーシーも日本の野球に慣れてきたように感じますし、打線につながりが出てきました。

 投手陣はずっと踏ん張っていて、平野佳寿までつなげばしっかり抑えてくれる。山本由伸が7月の前半あたりに少し打たれましたが、それでも安定していますよね。

―― 一方で、昨年13勝を挙げた宮城大弥投手が、防御率3.70、7月は未勝利でした。

高木 確かに、あまりよくないです。ただ、椋木蓮が雰囲気を変えていくんじゃないかと。よく、「新星は彗星のごとく現われる」なんて言いますけど、あとひとり抑えればノーヒットノーランだった日本ハム戦は、まさにそういうピッチングでしたね。

 あとは、田嶋、山岡泰輔もいい。先発投手が揃っていて中継ぎも力がある投手が多いので、そんなに心配いりません。打線がつながるようになってきたので、後半戦のオリックスは他球団にとって怖い存在になると思いますよ。

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