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元ヤクルトスカウトが明かす「選手獲得のツボ」と「野村克也が時間厳守と挨拶に厳しかったワケ」 (3ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi
  • photo by Kyodo News

 プロ入りすると、細かい技術の上乗せが必要になってきます。その際、技術上達のための努力をコツコツとできるか否か。野村さんは「時間厳守と挨拶」にことのほか厳しかった。言わんとすることは、「社会で一番小さなルールを守ることのできない人間が、技術上達の努力などできない」ということです。

 持っている能力も大事ですが、育ってきた環境、親の躾(しつけ)という部分も重要視していました。とくに野球は団体競技ですので、仲間と一緒に目的を達成していく対人関係スキル、コミュニケーションスキルも必要になってきます。

 ヤクルトには河端龍投手、花田真人投手という、ともにドラフト5位で獲得した選手がいました。彼らはコツコツと努力を重ね、コミュニケーション力に長けていた。決して派手な選手ではなかったが、着実に戦力になってくれました。

 河端は2001年の近鉄との日本シリーズで4試合に登板し、日本一に貢献。2004年には61試合に登板した。花田も2005年から3年連続40試合登板を果たすなど、ヤクルト投手陣を支え、佐々木主浩投手の「大魔神」ならぬ「花魔神」と呼ばれた。

 ともに潜在能力以上によくやってくれたと思うし、表現が適切かどうかわかりませんが、いい意味で期待を裏切ってくれた選手でした。プロに入って想像を超える成長を遂げてくれた選手を見ると、ほんとスカウト冥利に尽きます。

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