甲子園を目指さない高校球児も急増。「負けたら終わり」のトーナメントは時代錯誤なのか (5ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Kyodo News

 群馬で去年行なわれたリーグ戦では0勝18敗という学校もありました。もちろん勝利を目指しているでしょうが、それだけ負けられるのは逆にすごい。一番学びがあったと思います」

 他競技に目を向けるとサッカーでは2003年から「JFAプリンスリーグU−18」が始まり、現在はプレミアリーグとプリンスリーグの2部制となっている。バスケットボールでも昨年、「日清食品リーグ U18バスケットボール競技大会 関東ブロック2021」が始まった。ともに協会が主導し、強化と育成を見据えた環境が整えられている。

 かたや、1915年に朝日新聞の販売拡大という目的もあって始まった学生野球の全国大会は、多少の修正はありつつも、過密日程のなかでトーナメント戦が行なわれ続けている。年に2回開催される「甲子園」は日本の文化として根づき、野球界の財産であることに疑いの余地はないものの、令和の価値観に合わない点も多々生じている。

 足元に目をやると中学校では部活動のあり方から見つめ直され、球界の頂点に位置するプロ野球でも若手投手の「将来」を見据えた起用も増えてきた。

 はたして、甲子園は今後どのような形で存在していくべきか----野球界全体の未来のために、議論が必要な時がきている。

一部敬称略

第8回につづく

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