広岡達朗の「監督論」。ビッグボス絶賛の理由、立浪采配への期待、落合博満の次期阪神監督にも言及

  • 松永多佳倫●文 text by Matsunaga Takarin
  • photo by Kokei Yoshihiro

 御年90歳、球界の大御所・広岡達朗の発言が、いまネットを賑わせている。他の評論家は球界とのつながりを大事にするためか、オブラートに包みながら遠慮がちに解説しているが、失うものは何もない広岡は、巨人だろうと何だろうと歯に衣着せぬ発言で一刀両断する。広岡の球界での功績から一悶着あった出来事まで真意を探って記した『確執と信念 スジを通した男たち』(扶桑社)を執筆した松永多佳倫氏が、広岡達朗が求める監督論を分析した。

今季から日本ハムの指揮をとるビッグボスこと新庄剛志監督(写真左)今季から日本ハムの指揮をとるビッグボスこと新庄剛志監督(写真左)この記事に関連する写真を見る

新庄は野球を知っている

 個人名を出して理路整然に完膚なく叩く広岡が、日本ハム監督のビッグボス(新庄剛志)のことに関しては、就任時からベタ誉めの姿勢を貫いている。それらに関する記事は、瞬く間にコメント数が1000件以上もつくほどだ。開幕ダッシュに失敗しても「早く目を覚ませ!」と温かい言葉をかけるなど、闇雲に叩くわけではなく、やろうとしている真意を認め、叱咤激励を送っている。

「キャンプ時から新庄を見ているけど、きちんと理にかなった練習方法をしていた。オープン戦で、ヒットであろうと凡打であろうと外野へ飛んだ打球を処理する外野手はすぐさま内野へ全力で返球させたのも、守備の意識を高めさせる意図があったからだ。ただ、どんなに正しいことを言っても、野球はすぐにはうまくならない。何年もかけて根気よく教えて結果がよくなっていくのが教育というもの」

 広岡は、新庄監督就任時、体つきを見て「鍛えているな」と評価した。指導者たる者は率先垂範でなくてはならない考えを持ち、新庄はその点においてクリアしていた。

 そもそも広岡は、阪神時代の新庄のデビュー2戦目甲子園での試合で解説をやっており、「この新庄という若手選手は、ものすごいポテンシャルを秘めています。久々にこんな選手見ましたねー」と辛口批評が十八番だった広岡が珍しく褒め、業界が少しざわついたほどである。

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