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佐々木朗希、奥川恭伸、宮城大弥、紅林弘太郎...もはや伝説となった2019年の高校日本代表候補合宿のメンバーがすごすぎる! (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

「正直言って、甲子園を見た時の評価はそんなに高くはなかったんです。でも、練習を見たら『これは一番いいな』と。バッティングは振る力がしっかりありましたし、練習する姿勢が本当によかった。『この子は本当に野球が好きなんだろうな』と。昨年のドラフト会議前に、社長やGMの前で『誰が一番ほしいですか?』と聞かれた時、私は『黒川です』と答えました」

 楽天は同年ドラフトで黒川を2位指名する。早くもプロで定位置を獲得した紅林とは水を開けられた感はあるものの、黒川の打棒が本格的に花開くのはこれからだろう。

 試合だけで選手の資質を見抜くのは困難だと言われる。後関スカウト部長が黒川の練習を視察したように、多くのスカウトは練習での動きや取り組みをチェックする。

この合宿で評価を上げ、DeNAから1位指名を受けた桐蔭学園の森敬斗この合宿で評価を上げ、DeNAから1位指名を受けた桐蔭学園の森敬斗この記事に関連する写真を見る

大学・社会人に進んだ逸材たち

 この代表候補合宿ではフリーバッティングやシートノックもあったため、選手の実力が一目瞭然だった。ノックでは同ポジションの選手と技術を比較できるため、能力が抜けていればすぐに目立つのだ。

 紅林を含め有望なショートが多数招集されたなか、森敬斗の肩は目立っていた。当時身長175センチ、体重68キロと体格的には平凡ながら、鋭い送球を披露。難しい体勢でも強いボールが投げられ、センターとしても存在感を放った。

 前年秋の明治神宮大会では3失策を犯し、雑な印象も与えた森だったが、ひと冬の間に守備の猛練習を積んでいた。森はプロ入り後、当時をこう振り返っている。

「今まで打球に合わせようとしていなかったんですけど、ちゃんとボールを見るようになったり、姿勢を低くしたり。本当に基本的なことをやっていました」

 思いきりのいい打撃に加えて守備面で評価を高め、森はドラフト1位でDeNAへと進む。レギュラー獲りが期待されたプロ3年目の今季は、オープン戦で両足を負傷して離脱。それでも、そのたくましく、アグレッシブなプレースタイルはチームに新しい風を吹き込むはずだ。

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