鈴木誠也は年俸3億円から4年70億円に爆上がり。なぜメジャーに移籍すると、これほど価値は高まるのか? (3ページ目)
【NPBはキャリアアップのチャンス】
MLBの市場規模は1994年時点でNPBと同程度の1400億円程だったが、現在は1兆円を優に超えるまでに成長した。球団が利益を膨らませるなかで、選手たちの平均年俸も上がってきた。
以上を踏まえると、一定以上の実力を備える日本人選手がメジャーに新天地を求めた場合、市場の原理により、NPBより高額な年俸をオファーされるのは必然と言えるのだ。
MLBの視点に立つと、NPBは「4A」とたとえられる。野球のレベルを位置づけた表現だが、マイナーリーグでプレーする外国人選手にとって、日本球界は3Aより高額の年俸を得られる場と言える。
同時にモチベーションになるのが、キャリアアップのチャンスだ。
近年、NPB経由でMLB復帰を果たす選手が増えており、今オフにもふたりの投手がメジャー球団と契約した。元阪神の守護神ロベルト・スアレスは2年総額1100万ドル(約12億1000万円)の保証付きで、元ソフトバンクのニック・マルティネスは4年総額2000万ドル(約22億6000万円)で、いずれもサンディエゴ・パドレスと合意したと報じられている。
「日本に来て成績を残せば、メジャーにもう1回、大きな契約で戻れるよ」
マルティネスを担当する長谷川氏によると、NPB球団がとりわけ外国人投手にアプローチする際、こうした"売り文句"も可能になってきたという。NPBでどの程度の成績を残せばMLBで活躍できるかを、予測するだけのサンプルが集まってきたからだ。
「日本球界をよく知っている球団、たとえばパドレス、レンジャーズ、ドジャース、マリナーズなどは確実に自分たちなりのデータを持っています。一方でエージェントは、『日本でこれくらいの成績だったから、アメリカではこれくらいの成績を出すのでは』と計算します。『アメリカでこれくらいの成績を出せば、この選手と同じくらいなので、給料もこれくらい』と試算されます」
結果、スアレスは阪神時代の年俸2億6000万円、マルティネスはソフトバンク時代の年俸1億5000万円から大幅アップを果たした。
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