鈴木誠也は年俸3億円から4年70億円に爆上がり。なぜメジャーに移籍すると、これほど価値は高まるのか? (2ページ目)
【FA契約交渉でポイントとなるAAV】
実際、ロックアウト前には史上最高峰右腕のマックス・シャーザーがニューヨーク・メッツと3年総額1億3000万ドル(約147億5000万円)、大谷翔平と昨季のア・リーグMVPを争った内野手マーカス・セミエンがレンジャーズと7年総額1億7500万ドル(約199億円)、2021年に14勝6敗を記録した右腕ケビン・ガウスマンがブルージェイズと5年総額1億1000万ドル(約121億円)で契約を結んだ。
ちなみに日本の報道において、NPBの契約で「総額」と言われる際には出来高が含まれるが、メジャーについては出来高が含まれていないことが一般的だ。つまり、メジャーの選手たちが手にするのは、もっと大きな金額になると考えられる。
なぜ、メジャーリーグでは次々と"ビッグディール"が交わされているのか。その背景を長谷川氏が解説する。
「エージェントとすれば、『同じくらいの成績を出したA選手は去年この金額をもらっていて、うちのB選手は今年その成績を上回った。だから、年俸をこれくらいほしい』と交渉していくので、金額は全体的にどんどん上がっています。
対してチーム側は、特にピッチャーは31歳から33歳くらいでパフォーマンスが落ちるため、FAになって7、8年契約を結んだら最後のほうは金額に見合わなくなると考えられ、近年は契約年数が2、3年と短くなっています。あるいは菊池雄星投手のように契約年数は(最大7年と)長いけれど、オプトアウト(契約破棄条項)がつくことがトレンドになっています」
契約交渉が行なわれる際、ポイントになるのが「AAV」だ。「Average annual value」の略で「平均年俸」を意味する。長谷川氏が続ける。
「たとえば5年100億円の契約なら、『100億円÷5=20億円』がAAVです。内訳は契約金や年俸、バイアウト(球団あるいは選手が一定の金額を支払うことで、契約を解除できる条項)があって異なりますが、選手側が求めるのはトータルの契約で、その大小はAAVで決まります。
『あの選手より、自分はAAVで上回らないといけない』『AAVで上回れないなら、契約年数で上回ることでトータルの金額を増やしたい』となる。そうやって上を目指すから、必然的に年俸が上がっていきます。一方、オーナー側はなんとか歯止めをかけたいのが現状です」
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