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鈴木誠也は年俸3億円から4年70億円に爆上がり。なぜメジャーに移籍すると、これほど価値は高まるのか? (5ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Jiji Photo

【原監督は70人枠の撤廃を提言】

 2021年オフ、NPBでFAになったのは、中日からソフトバンクに移籍した又吉克樹のみだった。ただし、「自由契約」という本来の意味で見ると、日本ハムからノンテンダーになった西川遥輝(→楽天)や大田泰示(→DeNA)、さらに楽天からDeNAに移った藤田一也、ソフトバンクから楽天に加入した川島慶三、育成枠として再出発を期す大嶺祐太(ロッテ→中日)、古川侑利(巨人→日本ハム)らが市場に出て、新たな所属先と契約を結んでいる。

 反面、日本ハムからノンテンダーになった秋吉亮、元楽天の牧田和久や元オリックスの吉田一将など、来季のプレー先を探している選手も多くいるのが実情だ。

 プロ野球が厳しい実力社会であることは間違いないが、どうすればひとりでも多くの選手がよりよい環境でプレーすることができるか。長谷川氏はこう指摘する。

「戦力外通告を受けた選手たちの受け皿があまりにも悪すぎます。球団から足もとを見られすぎていますね。市場をつくり出せば、そうした先入観は自然に変わるはずです。

 市場原理で、お金を出さないとこの選手を取れないという環境を作り出すには、やっぱりチーム数を増やすこと。それが難しければ、支配下登録の70人枠を増やすことです。三軍をつくり、パイを増やしていく。理想はメジャーのようにチーム数が増えて、移籍が活性化していくことです」

 世界の野球界の頂点にはMLBが君臨し、市場やルールのあり方までアメリカを中心に広がっている。近年、NPBのFA市場が不活発なのは、超一流選手はFA権を得る前にポスティングシステムで海の向こうを目指すことと無関係ではない。

 そうしてNPBではFA市場が停滞する一方、足もとでは変革の兆しもある。巨人の原辰徳監督は70人枠の撤廃論を訴えているが、現に巨人とソフトバンクは三軍の拡大を進めている。

「育成枠」というネーミングも含め、そのあり方は議論の余地を残すが、日本球界が変革のタイミングを迎えていることは間違いない。

(第4回につづく)

1987年にやってきて日本球界に衝撃を与えたヤクルトのホーナー

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