球界のレジェンド・山本昌に聞く「なぜベテラン左腕は生き残れるのか?」 (2ページ目)
今シーズンも18試合に登板し5勝をマークしたソフトバンク・和田毅この記事に関連する写真を見る── 山本昌さんにとっては、ひと回り年下の投手たちです。
「彼らもベテランなんだなぁ......と感慨深いですね。みんな会うと気持ちよくあいさつしてくれますし、応援したくなります。でも、4人とも肩の衰えは感じていないんじゃないでしょうか。体力的に疲れやすくなっているかもしれないけど、スピードの衰えはあまり感じていないんじゃないかなと」
── 40歳を超えた投手が気をつけなければならない点は、どこでしょうか?
「ラクをしないことです。投球フォームも体を大きく使うこと。歳を重ねるとステップ幅を狭めたり、肩の回し方を小さくしたりとラクをしたがるもの。毎年、進化するために何らかの変化を求めるにしても、ラクな方向に行ってはいけないです」
── どうしてラクしようとするといけないのでしょうか。
「練習でラクをしようとしても、試合になると懸命に投げるものです。でも、力をセーブしていると、試合に入ってもボールが走らなくなっていくんです」
── 山本さん自身、「こうしていればもっと長く現役生活を送れたのに」と後悔していることはありますか?
「現役最後の年にヒザを痛めたことですね。春季キャンプが終わったあと、名古屋に帰ってきて寒いなか走ったらヒザを痛めてしまって。治るのに3〜4カ月かかりました。足さえケガしなければ、ボールは維持できるんですよ」
── 足さえケガしなければ、ですか?
「もちろん、肩・ヒジを痛めないことは大前提ですけどね。足をケガすると運動量が下がって、下半身の踏ん張りが利かなくなっていくんです」
── もし、山本さんが左投手ではなかったら、50歳まで現役を続けることは難しかったのでしょうか?
「50歳どころか、プロにも入っていないですよ(笑)。僕なんて、左投げでストライクが入るから獲ってもらえたようなものですから。ラッキーだったんです」
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