横浜DeNAの牧秀悟が分析した自身の活躍の理由。2年目のジンクスは「めちゃくちゃ不安ですよ」 (4ページ目)

  • 石塚隆●文 text by Ishizuka Takashi
  • photo by Koike Yoshihiro

【4番はほかよりもやりやすい】

 そんな牧の真価をさらに発揮させるタイミングとなったのが、10月6日の阪神戦で負傷のタイラー・オースティンに代わり、4番に抜擢されたことだ。球団としては61年ぶりとなるルーキーの4番。試合前の練習中、三浦大輔監督は牧に近づいていき声をかけた。

「4番でいくから。もう代えることはないから、いつもどおりやってくれ」

 この言葉で牧の心に火が点いたのは言うまでもない。4番に入ったのはシーズン終わりまでのわずか15試合であったが、それでも打率.514、OPS1.297という驚異的な数字を残し、それが数々のプロ野球記録更新や10月・11月の月間MVP獲得につながった。

 現代野球において4番はとかく議論の的になるが、牧はプレッシャーをものともせず打棒を振るった。

「慣れというのもあると思うんです」

 学生時代はもちろん、大学日本代表でも4番を打ってきたからこそ鍛えられたメンタル。4番は好きな打順だ。

「ほかの打順よりも気持ちの入れ方や準備の仕方という部分で、なんとなくですけど、やりやすい感じはあります。ただ実際のところ前に佐野(恵太)さんがいて、うしろに宮﨑(敏郎)さんがいるので、4番の仕事をするというよりも先輩たちに甘えながら自分のバッティングをすることができたという感じですよね」

 キャプテンの佐野からは「どんな状況であっても自分のバッティングは変えないほうがいい」という金言をもらい実践することができた。

 今季、DeNAは牧のほかに3人の3割打者を輩出した。牧は彼らの姿にプロフェッショナルを感じたという。

「たとえ4の0で終わっても引きずることなく、その後2日連続してマルチ安打を打つところに『これがプロなんだ』とすごさを感じました」

 まわりの環境もまた牧にいい影響を与えたのだろう。

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