阪神と巨人の急失速はなぜだったのか。高木豊が両監督の采配、CSに向けたキーマンを語った (2ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Sankei Visual

 さらに、シーズン終盤の矢野監督の采配は、「完全に"守り"に入っていた」と続ける。

「今季の阪神の強みはなんだったか。特に前半戦で、打てない時にも勝てた試合で力になったのは"足"です。代走の起用、盗塁の成功率も高かったですよね。でも、後半はほとんど足を使えなかった。『使わなかった』と言ったほうがいいかもしれません。『自分たちは挑戦者』と言いながらも、批判を恐れた采配をしていたように思います。

 7月6日のヤクルト戦での"サイン盗み疑惑"以降、チームのバランスが崩れていきましたね。やってないにしても、疑われるのはチームのモチベーションを下げるきっかけになります。その指摘をした村上(宗隆)は肝が据わっていましたし、今季のペナントレースの流れを変えたと言ってもいいかもしれません」

 一方、9月頭に15あった貯金を急速に減らしていき、10月には10連敗を喫するなど大失速した巨人。その要因のひとつとして、菅野智之、山口俊、髙橋優貴、戸郷翔征、C.C.メルセデスら先発投手の登板間隔を中4、5日に詰めたことも指摘されたが、高木はどう見ていたのか。

「投手陣が足りずに登板間隔を詰めていくのは自然な考え方なので、あとはそれで成功するか否か。結果的には失敗して、選手たちの調子が落ちて貯金を減らしていきましたが、攻めた結果ですから。巨人は開幕からずっとベストメンバーを組めなかったので、選手たちに負担がかかる戦術を取るのも仕方なかったと思います」

 振り返ってみると、9月5日の阪神戦で、6点差を守りきれずに引き分けになった試合も大きかった。5回で6-0と大量リードし、中4日で先発したメルセデスをわずか69球で降板させ、坂本勇人も6回裏からベンチに下げた。しかし、代わりにショートに入った若林晃弘、廣岡大志が立て続けにエラーして失点につながった。

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