阪神と巨人の急失速はなぜだったのか。高木豊が両監督の采配、CSに向けたキーマンを語った

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Sankei Visual

 シーズン序盤の絶好調から一転、交流戦以降は失速し、16年ぶりのリーグ優勝を逃した阪神。シーズン終盤に大失速し、かろうじて3位でレギュラーシーズンを終えた巨人。かつて大洋(現DeNA)で活躍し、現在は野球解説者やYouTubeでも活動する高木豊が、ヤクルトとの三つ巴の争いから両チームが脱落した要因を語った。

シーズンを2位で終えた阪神の矢野監督(左)と、同3位の巨人・原監督(右)シーズンを2位で終えた阪神の矢野監督(左)と、同3位の巨人・原監督(右)この記事に関連する写真を見る「まず阪神は、危機管理能力が不足していたように思います。春先は他のチームが打線を固定できなかった一方で、阪神は外国人助っ人が間に合い、どうなるかわからなかったルーキーの佐藤(輝明)も爆発的に活躍するなど、前半戦は何もかもがうまくいきました。

『このままでいける』と思ったのかどうかはわかりませんけど、たとえば大山(悠輔)や佐藤が不振に陥った際の対応が不十分だったり、危機管理の意識が足りなかったかなと思います。首脳陣は、普通であればチームが崩れた時のことを想定してマネジメントをしていくものですが、うまくいきすぎたところもあるんでしょう。佐藤もあれだけ結果を出せば、外した時に『なぜ外すんだ』ってことになりますし」

 シーズン終盤で負けられない試合が続くなか、10月26日に甲子園で行なわれた中日戦での矢野燿大監督の采配が多くのファンの間で物議を醸した。1点を追う2回裏、2死一、三塁の場面で、先発の青柳晃洋に代打・小野寺暖を送った場面だ。高木は言う。

「『瀬戸際でどういうことをするか』ですよね。最初から2位でも構わないと思っていれば他の投手を投げさせてもいいですが、あの試合は先発の柱の青柳を先発で起用した。にもかかわらず、2回で早々に替えたということは、ふだんはエースと言っていながらも、本当の意味では信頼していなかったと考えざるをえません」

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