サプライズケーキにふたり旅...市和歌山のドラ1コンビ・小園&松川はまるで恋人同士⁉︎

  • 沢井史●文 text by Sawai Fumi
  • photo by Kyodo News

 とにかく自然体──市和歌山の小園健太と松川虎生のふたりのやりとりを見るたび、いつもそう思う。中学1年の時からバッテリーを組んでいるのだから当然かもしれないが、このふたりには「大親友」「絆の深いバッテリー」という言葉だけでは表せない強い結びつきを感じるのだ。

ともにドラフト1位で指名された市和歌山の小園健太(写真左)と松川虎生ともにドラフト1位で指名された市和歌山の小園健太(写真左)と松川虎生この記事に関連する写真を見る ふたりの出会いは中学1年の春。小園が所属していた貝塚ヤングに松川が体験入部に来た時だった。当時の第一印象を小園が明かしてくれた。

「あの頃から今みたいに体が大きくて、何も話さなかったら怖い雰囲気があるんですけど、話すと声がものすごく高かった(笑)。時間が経ってだんだん自分に絡んでくるようになったのですが、中学時代はふたりで出かけることはほとんどなかったですし、今のほうが仲はいいんじゃないですかね」

 市和歌山に入学するにあたり、松川が小園に声をかけたことが最大の決め手になったという話は有名だが、じつは小園のなかでは早い段階で市和歌山へ進学する意思はほぼ固まっていたといいう。

 そうして同じ門をくぐ潜ると、入学直後に開幕した春の県大会ではともにベンチ入りを果たす。だが、すぐにバッテリーを組んだわけではなかった。

 小園は背番号18で、松川は背番号5。先輩捕手がいたこともあり、松川は打撃を買われて内野手として登録されていた。

 松川は初戦の串本古座戦に代打で出場すると、いきなり適時打を放つ活躍。そして小園もリリーフ登板するなど、ともに華々しく公式戦デビューを飾った。

「あの試合は......自分はブルペンから(松川の打席を)見ていたのですが、タイムリーを打った時はすごく興奮してしまいました」

 以降、松川は1年生ながら4番に座り、夏の県大会は準々決勝で敗れたが、直後の新チームから再びバッテリーを組むようになった。

 市和歌山は毎日朝練があり、選手たちは始発で通学し、部室で朝食をとってから練習が始まるのだが、その部室ではいつも小園が松川にちょっかいをかけていたという。

「いつも健太がちょっかいをかけてくるんです。ホント、いろんなことを仕掛けてくるんですよ」

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