ヤクルトが2年連続最下位からのリーグ制覇。サクセスストーリーを完結させた「4つのシンカ」 (4ページ目)
新キャプテンの山田は、こうしたチームの中心に常に立っていた。若手投手たちとの会話を心がけ、村上や塩見、外国人選手とも積極的にコミュニケーションを図っていた。青木と会話しながらクラブハウスへ戻る光景も頻繁に見られた。
優勝が目前に迫っていた頃、福地寿樹コーチがこんなことを語っていた。福地コーチは2013年から一軍、二軍で指導者としてチームを見守っている。
「まず元気ですよね。これまでは負けてしまうとシュンとしてしまうところがあったのですが、今年はビハインドの場面でもみんなが立ち上がって声を出している。緊迫した試合が続くなかでもみんな笑顔ですし。勝たなきゃいけないと力が入るのではなく、逆に『やってやるぞ!』と緊張感を楽しんでいる。6年前の優勝の時と雰囲気は似ていますが、あの時よりも明るさがあります」
昨シーズンのこと、チームが最下位から抜け出せずにいる時期に高津監督は、このようなコメントを残している。
「チームはいま苦しい状況ですが、絶対に流れはくると思っています。それまではしっかり我慢して、準備して、努力することを続けていきたい。チームがお祭り騒ぎのなかで野球ができる瞬間を待っています」
高津監督も2014年から一軍投手コーチ、二軍監督、そして一軍監督として、長い時間をかけてチームに寄り添ってきた。
選手や首脳陣が語る「ベンチの雰囲気」も急に生まれたものではない。そこにはすでにチームを去ったコーチ、選手、スタッフたちの足跡も刻まれている。2年連続最下位から優勝というサクセスストーリーは、多くの人の思いが紡いで完結したものである。
かつて球界を席巻した強いヤクルト復活へ、今シーズンの戦いはまだ序章にすぎない。
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