立浪和義が阪神・巨人・ヤクルトの戦力を分析、優勝に最も近いのは? 古巣・中日には愛あるダメ出し (3ページ目)

  • 寺崎江月●取材・文 text by Terasaki Egetsu
  • photo by Kyodo News

――投手力に関してはいかがですか? ここ数年、4点台後半と苦しんでいたチーム防御率が今季は3.61(9月16日時点)と改善しています。

「先発陣は、小川(泰弘)投手をはじめ、高橋(奎二)投手、奥川(恭伸)投手などが頑張っていますが、長いイニングを投げられる投手が少ないことが気がかりです。開幕直前にトレードで巨人から加入した田口(麗斗)投手を中継ぎに回すなど強化を図っているものの、リードを守れないことも多いですね。

 やはり打線は好不調の波がありますから、もっとも大事なのは投手力。そこが改善され、打線がまたつながりだしたら勢いに乗れると思います」

――総合すると、終盤戦を優位に進めそうなのはどの球団になりそうですか?

「投打のチーム状況のバランスを見ると、やはり巨人になるのかな、という印象です。投手陣は、守護神の(チアゴ・)ビエイラ投手の離脱は痛いものの、先発陣は菅野投手の他にも髙橋(優貴)投手、戸郷(翔征)投手、(C.C.)メルセデス投手など、誰かの不調をカバーできる枚数が揃っています。

 打撃面は代打陣まで層が厚く、たとえば試合終盤に競った展開になって下位打線から始まる回でも、亀井(善行)選手、中島(宏之)選手など上位打線のような代打攻勢ができる。打線ではヤクルトも負けていませんが、投手力も考えると巨人が優勢になりますね」

――ちなみに、その3強から大きく離されてしまった、立浪さんの古巣である中日の戦いについてはどう見ていますか?

「なんといっても課題は打線。打点は四番の(ダヤン・)ビシエド選手頼みで、大島(洋平)選手を三番で起用せざるを得ないなど、明らかにクリーンナップの枚数が足りていません。

 打ってもらわないといけない選手が、軒並み調子を落としているとなるとやはり苦しいですよ。高橋(周平)選手、阿部(寿樹)、平田(良介)選手もそう。それらの選手が"普通"にやっていれば、ペナントレースも違った展開になっていたでしょう」

―― 一方、チーム防御率は断トツのリーグトップです。

「それも、広いバンテリンドームの恩恵を受けた形になっていて、他の球場では失点の確率がぐっと高くなるイメージがあります。上位を狙うチームになるには、そこも改善していかないといけません。

 柳(裕也)投手などが一本立ちしたなかで、小笠原(慎之介)投手、福谷(浩司)投手も貯金が作れていませんし、投手の駒が揃っているようで揃っていない。シーズンを戦い抜ける"一人前"の投手がもっと台頭してきてほしいですね」

(後編:「守備は私より格段に上」の新人と阪神・佐藤輝明のスランプ>>

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